乱視の関与する屈折異常弱視の治療予後

【目的】乱視の関与する屈折異常弱視の治療予後と、その予後に影響を与える因子を検討する。 【対象と方法】2003年からの8年間に、兵庫医科大学病院眼科で屈折異常弱視と診断された治療開始年齢9歳未満で、2.00D以上の乱視を含む24例39眼を対象とした。対象を遠視性乱視群(遠視群)、混合性乱視群(混合群)、近視性乱視群(近視群)に分類し、さらに、乱視の影響のみを見るために、球面値±2.00D未満のみの症例(以下弱屈折群)を抽出し、視力予後、両眼視機能予後、治療期間につき検討した。予後に影響を与える因子として、治療開始時の年齢、視力、球面値、乱視とした。 【結果】全例矯正視力1.0とTitmus S...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 42; pp. 71 - 76
Main Authors 辻本, 勝也, 三村, 治, 間原, 千草, 嶌岡, 文, 木村, 亜紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2013
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.042F003

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Summary:【目的】乱視の関与する屈折異常弱視の治療予後と、その予後に影響を与える因子を検討する。 【対象と方法】2003年からの8年間に、兵庫医科大学病院眼科で屈折異常弱視と診断された治療開始年齢9歳未満で、2.00D以上の乱視を含む24例39眼を対象とした。対象を遠視性乱視群(遠視群)、混合性乱視群(混合群)、近視性乱視群(近視群)に分類し、さらに、乱視の影響のみを見るために、球面値±2.00D未満のみの症例(以下弱屈折群)を抽出し、視力予後、両眼視機能予後、治療期間につき検討した。予後に影響を与える因子として、治療開始時の年齢、視力、球面値、乱視とした。 【結果】全例矯正視力1.0とTitmus Stereo Test(TST)100秒位以下を獲得していた。TSTは遠視群でのみ治療開始時の視力が良いほど有意に良好な結果を得ていた。治療期間では、年齢(治療開始時の年齢)とは相関を認めなかったが、視力(治療開始時の視力)とは相関を認めた。混合群と弱屈折群では、初診時視力が悪いほど有意に治療期間が長く、遠視群では遠視が強いほど、弱屈折群では、乱視が強いほど治療期間が有意に延長していた。さらに、遠視群では、治療開始時の視力が0.5以上と未満の群で有意差を認め、0.5未満の群で有意に治療期間は延長していた。 【結論】乱視の関与する屈折異常弱視の予後は良好であった。遠視の合併は治療期間、両眼視機能予後に影響を与えていた。弱い球面値でも乱視が強い場合、治療期間が延長するため、早期からの眼鏡常用が望ましい。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.042F003