脊椎インストゥルメンテーション手術後の遅発性手術部位感染の臨床像

はじめに:遅発性SSIの臨床像を明らかにすべく早期SSIと比較した.対象と方法:対象は脊椎インストゥルメンテーション手術後SSIで追加手術を要した31例.背景因子,手術関連因子,創部・画像・血液などの診断時所見,起炎菌,インプラント温存の有無,CRP正常化までの期間など治療関連因子を調査し,遅発性SSIを術後30日以降に発症したものと定義して早期と遅発性の二群で比較した.結果:遅発性SSIは35%を占め,早期SSIとの比較では創部所見率とCRPが低く,画像ではCTでの溶骨性変化とMRIでの骨髄浮腫像を有意に多く認め,起炎菌はアクネ菌が多く(早期,遅発性:2例/20,5例/11),インプラント温...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 5; pp. 771 - 778
Main Authors 松本, 富哉, 長本, 行隆, 岩﨑, 幹季, 髙橋, 佳史, 海渡, 貴司, 古家, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.05.2024
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2023-0035

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Summary:はじめに:遅発性SSIの臨床像を明らかにすべく早期SSIと比較した.対象と方法:対象は脊椎インストゥルメンテーション手術後SSIで追加手術を要した31例.背景因子,手術関連因子,創部・画像・血液などの診断時所見,起炎菌,インプラント温存の有無,CRP正常化までの期間など治療関連因子を調査し,遅発性SSIを術後30日以降に発症したものと定義して早期と遅発性の二群で比較した.結果:遅発性SSIは35%を占め,早期SSIとの比較では創部所見率とCRPが低く,画像ではCTでの溶骨性変化とMRIでの骨髄浮腫像を有意に多く認め,起炎菌はアクネ菌が多く(早期,遅発性:2例/20,5例/11),インプラント温存率は有意に低かった(早期,遅発性:100%,45%).一方CRP正常化までの期間(早期,遅発性:61日,62日),治療期間に両群で有意差はなかった.結語:遅発性SSIは臨床症候が乏しく潜行性に骨破壊を進め,診断時に顕著な不安定性を呈し多くでインプラント抜去を要する.術後に背部鈍痛を伴い骨癒合遷延する症例では本病態を念頭に置く必要がある.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2023-0035