バケツ柄状断裂と剥離型損傷を合併した上方関節唇損傷の1例

若年者で腱板損傷などの合併損傷のない,バケツ柄状断裂と剥離型損傷が混在した稀なSLAP lesionの1例ついて報告した.症例は14歳男性であった.主訴は右肩痛と脱臼感である.平成21年8月,投球時に右肩の脱臼感が生じ,以降,右肩投球時痛が生じた.平成22年4月,投球時に再度右肩の脱臼感を生じたため5月に近医を受診し,精査加療目的で当科紹介となった.理学所見では,右肩関節屈曲100°で疼痛を認め,インピンジメント徴候とO'Brien test3)が陽性であった.単純X線像は異常を認めなかったが,MRI T2*像では上方関節唇の剥離所見を認めた.反復性肩関節前方亜脱臼の診断にて関節鏡検...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 4; pp. 645 - 648
Main Authors 水田, 博志, 井手, 淳二, 矢澤, 克典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.60.645

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Summary:若年者で腱板損傷などの合併損傷のない,バケツ柄状断裂と剥離型損傷が混在した稀なSLAP lesionの1例ついて報告した.症例は14歳男性であった.主訴は右肩痛と脱臼感である.平成21年8月,投球時に右肩の脱臼感が生じ,以降,右肩投球時痛が生じた.平成22年4月,投球時に再度右肩の脱臼感を生じたため5月に近医を受診し,精査加療目的で当科紹介となった.理学所見では,右肩関節屈曲100°で疼痛を認め,インピンジメント徴候とO'Brien test3)が陽性であった.単純X線像は異常を認めなかったが,MRI T2*像では上方関節唇の剥離所見を認めた.反復性肩関節前方亜脱臼の診断にて関節鏡検査を施行し,type II+III SLAP lesionを認めた.バケツ柄状断裂を切除し,2縫合糸付き吸収性suture anchorにてtype II SLAP lesionを修復した.腱板損傷などの合併損傷は認めなかった.術後4カ月で疼痛および可動域制限は消失した.Impingement sign,O'Brien test3)は陰性であり,Rowe score は100点で野球に復帰した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.645