膀胱尿管逆流を伴う交差性融合腎にIgA 腎症を合併した1 例
膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux: VUR)を伴う交差性融合腎にIgA 腎症を合併した9 歳男児例を経験した。VUR のため生後11 か月時に施行された逆流防止術の際のDMSA シンチグラムで交叉性融合腎が判明した。8歳時の定期受診で血尿と蛋白尿を指摘され当科を紹介受診した。血液生化学検査でCr 0.51 mg/dl,24 hr Ccr 81.2 ml/min/1.73 m2 と軽度の腎機能低下と1.26 g/日の蛋白尿を,また超音波検査で左側に変位した右矮小腎を認めた。出血合併症,さらに腎臓摘出などの合併症について言及した書面で説明し,同意を得た上で経皮的腎生検を施行...
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| Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 27 - 32 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
2016
日本小児腎臓病学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
| DOI | 10.3165/jjpn.cr.2015.0073 |
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| Summary: | 膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux: VUR)を伴う交差性融合腎にIgA 腎症を合併した9 歳男児例を経験した。VUR のため生後11 か月時に施行された逆流防止術の際のDMSA シンチグラムで交叉性融合腎が判明した。8歳時の定期受診で血尿と蛋白尿を指摘され当科を紹介受診した。血液生化学検査でCr 0.51 mg/dl,24 hr Ccr 81.2 ml/min/1.73 m2 と軽度の腎機能低下と1.26 g/日の蛋白尿を,また超音波検査で左側に変位した右矮小腎を認めた。出血合併症,さらに腎臓摘出などの合併症について言及した書面で説明し,同意を得た上で経皮的腎生検を施行した結果,光学顕微鏡では巣状メサンギウム増殖と糸球体34 個中2 個に細胞性半月体を認めた。また蛍光抗体法でメサンギウム領域から係蹄壁にIgA 優位の沈着を認め,IgA 腎症と診断した。カクテル療法開始4 か月で24 h Ccr は正常域まで改善し,7 か月で尿蛋白も陰性化した。VUR などの合併症や変位腎の矮小化などを伴う交差性融合腎は腎予備能が低い可能性があり,定期的な観察と早期の評価・介入による腎機能悪化の防止が重要であると考えられた。 |
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| ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
| DOI: | 10.3165/jjpn.cr.2015.0073 |