援助行動と関連する社会的スキルの醸成に向けた大学体育授業経験に関する探索的検討

「はじめに」少子高齢化や人口減少社会の到来, 地域コミュニティの機能低下, およびグローバル化の進展などにより, 社会は大きく変化してきた. このような現代において, 国や地域, 年代, および価値観の異なる他者と協働しながら, より良い方向をめざして物事を構築できる青少年の育成が求められている(文部科学省中央教育審議会, 2014). 他者と真摯に向き合い協働できる資質を支えるものとして, 他者のためになることをしようとする自発的な行為のひとつである, 内発的に動機づけられた援助行動(向社会的行動)があり, 援助行動を遂行する資質の育成は, その重要性を増している(宮里ほか, 2015)....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in体育学研究 Vol. 61; no. 2; pp. 475 - 488
Main Authors 橋本, 公雄, 内田, 若希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 2016
日本体育学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.15062

Cover

More Information
Summary:「はじめに」少子高齢化や人口減少社会の到来, 地域コミュニティの機能低下, およびグローバル化の進展などにより, 社会は大きく変化してきた. このような現代において, 国や地域, 年代, および価値観の異なる他者と協働しながら, より良い方向をめざして物事を構築できる青少年の育成が求められている(文部科学省中央教育審議会, 2014). 他者と真摯に向き合い協働できる資質を支えるものとして, 他者のためになることをしようとする自発的な行為のひとつである, 内発的に動機づけられた援助行動(向社会的行動)があり, 援助行動を遂行する資質の育成は, その重要性を増している(宮里ほか, 2015). この援助行動とは, 人から指示・命令されたからではなく, 自ら進んで意図的に他者に恩恵を与えるような行動のことである(高木, 1998). 日常生活の中で経験する援助行動は, 時間と労力を提供する奉仕活動への従事や, 血液や臓器などを提供する「寄付・奉仕行動」, 自分の貴重な持ち物を分与もしくは貸与する「分与・貸与行動」, 緊急で重大な事態に陥っている他者の救出のため, 危険を冒してその事態に介入する「緊急事態における救助行動」, 身体的努力を提供する「労力を必要とする援助行動」, 迷子の世話や拾得物を持ち主に届ける「迷子や遺失者に対する援助行動」, およびちょっとした思いやりや親切心から人助けをする「小さな親切行動」の6つに分類される(高木, 1998).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.15062