ESS における合併症対策

慢性副鼻腔炎に対する ESS は全国で年間約3万件以上施行され, 多くの耳鼻咽喉科医が経験する手術である. しかし, 副損傷を起こす割合は常に約3%程度であるとされ, 眼症などの重篤な副損傷を起こす例も報告されている. このような状況下で, 副損傷を最小限度に抑えるためには, 術者が早期に副損傷の発生に気づくことであり, そのためには, やはり “手術手技の基本に熟達する” ことにつきる. ESS 概念と内視鏡的鼻副鼻腔解剖の理解, 個々の症例での評価 (画像および鼻内所見), 内視鏡操作や器具の使い方などの手術手技の習得, 合併症 (髄液漏, 視器障害, 血管損傷) への対応, 術後管理が挙...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 6; pp. 736 - 744
Main Author 春名, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2015
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.118.736

Cover

More Information
Summary:慢性副鼻腔炎に対する ESS は全国で年間約3万件以上施行され, 多くの耳鼻咽喉科医が経験する手術である. しかし, 副損傷を起こす割合は常に約3%程度であるとされ, 眼症などの重篤な副損傷を起こす例も報告されている. このような状況下で, 副損傷を最小限度に抑えるためには, 術者が早期に副損傷の発生に気づくことであり, そのためには, やはり “手術手技の基本に熟達する” ことにつきる. ESS 概念と内視鏡的鼻副鼻腔解剖の理解, 個々の症例での評価 (画像および鼻内所見), 内視鏡操作や器具の使い方などの手術手技の習得, 合併症 (髄液漏, 視器障害, 血管損傷) への対応, 術後管理が挙げられる. 特に手術手技では, 実践に即した適切な器具の使い方と出血を制御した内視鏡視野を確保した術式を学ばなければいけない. 副損傷を起こしやすいパターンは, 出血が多い症例, 再手術などの解剖学的メルクマールを認識しにくい症例である. 今後, 若手医師への安全な ESS の教育および手術指導医の認定も検討すべきである.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.118.736