側頭骨の内視鏡手術解剖

正確な解剖の知識は, 安全で確実な手術を素早く行うために必須である. これまで, 側頭骨の臨床解剖については多くのテキストがあるが, それらはすべて顕微鏡下手術における解剖であった. これまで顕微鏡では死角となって観察が困難であった構造が, 経外耳道的に内視鏡を用いていろいろな方向から拡大して観察できるようになったため, 顕微鏡での手術解剖とは異なる, 内視鏡による中耳手術解剖(Endoscopic surgical anatomy)を再確認する必要がある. 「1. Tympanomeatal flapの挙上」Tympanomeatal flap挙上の際tympanomastoid sutur...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 6; pp. 788 - 791
Main Author 欠畑, 誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2015
日本耳鼻咽喉科学会
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.118.788

Cover

More Information
Summary:正確な解剖の知識は, 安全で確実な手術を素早く行うために必須である. これまで, 側頭骨の臨床解剖については多くのテキストがあるが, それらはすべて顕微鏡下手術における解剖であった. これまで顕微鏡では死角となって観察が困難であった構造が, 経外耳道的に内視鏡を用いていろいろな方向から拡大して観察できるようになったため, 顕微鏡での手術解剖とは異なる, 内視鏡による中耳手術解剖(Endoscopic surgical anatomy)を再確認する必要がある. 「1. Tympanomeatal flapの挙上」Tympanomeatal flap挙上の際tympanomastoid sutureやtympanosquamous sutureから細い穿通枝が出ており, そこから出血するので先細のバイポーラで適宜止血する. 剥離は一箇所のみ深くならないように丁寧にflapを挙上していく. 繊維性鼓膜輪が黄白色調の幅1mm弱の帯状の構造物として鮮明に観察されたら, 左耳であれば3~4時位の位置から鼓膜輪をなでるように持ち上げる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.118.788