頚髄症で発症したC2/3黄色靭帯石灰化症の一例

C2/3黄色靭帯石灰化症により頚髄症を呈した症例を経験したので報告する.症例は87歳,女性.3年前より両手掌と左上肢しびれが出現.1ヶ月前より左優位の筋力低下と巧緻運動障害を認め立位保持困難となった.発熱なくCRPは軽度上昇.MRIでC2/3左側後方の硬膜外に腫瘍性病変あり,T1 iso,T2 highで一部造影効果を認めた.手術所見はC2/3椎間関節近傍に黄白色調の嚢腫様病変を認め,脊髄を圧迫していた.病理では弾性線維内に好塩基性の針状構造物が結節を,CaとPを主成分とする結晶沈着がみられ黄色靭帯石灰化の診断であった.靭帯の石灰沈着は動的ストレスが影響すると考えられており,頚椎ではC1/2や...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 3; pp. 670 - 673
Main Authors 駄阿, 勉, 巽, 政人, 大田, 秀樹, 井口, 洋平, 草場, 敬浩, 松本, 佳之, 竹光, 義治, 真田, 京一, 柴田, 達也, 木田, 浩隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.670

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Summary:C2/3黄色靭帯石灰化症により頚髄症を呈した症例を経験したので報告する.症例は87歳,女性.3年前より両手掌と左上肢しびれが出現.1ヶ月前より左優位の筋力低下と巧緻運動障害を認め立位保持困難となった.発熱なくCRPは軽度上昇.MRIでC2/3左側後方の硬膜外に腫瘍性病変あり,T1 iso,T2 highで一部造影効果を認めた.手術所見はC2/3椎間関節近傍に黄白色調の嚢腫様病変を認め,脊髄を圧迫していた.病理では弾性線維内に好塩基性の針状構造物が結節を,CaとPを主成分とする結晶沈着がみられ黄色靭帯石灰化の診断であった.靭帯の石灰沈着は動的ストレスが影響すると考えられており,頚椎ではC1/2や中下位に発生しやすい.本症例は発熱や頚部痛などの急性炎症は無くC2/3高位の腫瘍性病変による圧迫性脊髄症を呈した.中下位頚椎の頚椎症性変化によりC2/3への動的ストレスが増大した事が原因と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.670