当院における初回人工股関節全置換術後脱臼の検討

人工股関節全置換術(THA)後の脱臼は合併症として最も注意すべきものの1つである.今回当院で人工股関節後脱臼のため整復を行った患者についてretrospectiveに調査し,特に脱臼肢位に着目し検討を行った.2000年から2013年まで初回THA後の後方脱臼で整復を行った11例11股を対象とした.男性3股,女性8股で平均年齢は63歳であった.初回脱臼までの期間は半年未満が6股と最多であり,経過とともに減少傾向にあった.Lewinnek safe zoneによるインプラントのアライメント評価では5股で逸脱しており,そのすべてがカップのanteversionの過大であった.脱臼肢位は股関節の屈曲内...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 63; no. 4; pp. 700 - 702
Main Authors 田口, 敏彦, 徳重, 厚典, 梅原, 渓太郎, 今釜, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2014
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.63.700

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Summary:人工股関節全置換術(THA)後の脱臼は合併症として最も注意すべきものの1つである.今回当院で人工股関節後脱臼のため整復を行った患者についてretrospectiveに調査し,特に脱臼肢位に着目し検討を行った.2000年から2013年まで初回THA後の後方脱臼で整復を行った11例11股を対象とした.男性3股,女性8股で平均年齢は63歳であった.初回脱臼までの期間は半年未満が6股と最多であり,経過とともに減少傾向にあった.Lewinnek safe zoneによるインプラントのアライメント評価では5股で逸脱しており,そのすべてがカップのanteversionの過大であった.脱臼肢位は股関節の屈曲内転内旋が3股であったのに対し,体幹の前屈によるものが8股と多かった.高齢者や変形性股関節症の患者では優位に腰椎の可動域が低下しており,特に座位での体幹前屈時には骨盤が前傾することで股関節が過屈曲し後方脱臼を引き起こす可能性が示唆された.術後の脱臼予防において,体幹の前屈位に注意するよう強調する必要があると考える.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.63.700