再発・転移を繰り返した悪性グロームス腫瘍の1症例

グロームス腫瘍は通常良性腫瘍であるが,稀に再発・転移という悪性腫瘍に特徴的な経過を示す事がある.今回,我々は約25年間にわたり再発・転移を繰り返した1症例を経験した.症例)64歳,男性.38歳時に左腎原発のグロームス腫瘍の切除を受けた.53歳時に左臀部,両側肺の転移病変の治療を受けた.今回,左臀部に倦怠感により発症した再発性病変に対して栄養血管の塞栓術,切除術,放射線照射を行った.病理学的所見は38歳時に摘出された病変はFolpeの基準でuncertain malignant potentialであったが今回(64歳時摘出標本)は悪性グロームス腫瘍の基準を満たしていた.考察)悪性グロームス腫瘍...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 2; pp. 192 - 196
Main Authors 上戸, 康平, 富田, 雅人, 野崎, 義宏, 熊谷, 謙治, 木下, 直江, 進藤, 裕幸, 宮田, 倫明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.61.192

Cover

More Information
Summary:グロームス腫瘍は通常良性腫瘍であるが,稀に再発・転移という悪性腫瘍に特徴的な経過を示す事がある.今回,我々は約25年間にわたり再発・転移を繰り返した1症例を経験した.症例)64歳,男性.38歳時に左腎原発のグロームス腫瘍の切除を受けた.53歳時に左臀部,両側肺の転移病変の治療を受けた.今回,左臀部に倦怠感により発症した再発性病変に対して栄養血管の塞栓術,切除術,放射線照射を行った.病理学的所見は38歳時に摘出された病変はFolpeの基準でuncertain malignant potentialであったが今回(64歳時摘出標本)は悪性グロームス腫瘍の基準を満たしていた.考察)悪性グロームス腫瘍は非常に稀であり標準的診断基準・治療法は定まっていない.病理所見のみでなく局在部位,大きさもあわせての判断が必要である.本症例は経時的に悪性度を増していったと考えられ今後の慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.61.192