中学生野球選手の試合前競技状態不安 : ストレスに関わる認知的要因の因果的関連に基づく検討

「I 問題の所在」スポーツ選手を対象とした心理学的ストレス研究の知見が, 近年, わが国でも蓄積されてきている(渋倉・小泉, 1999;加藤・石井, 1999;渋倉, 2001;渋倉・森, 2002;加藤・石井, 2003;渋倉・森, 2004). 心理学的ストレス研究は, ストレッサーに対する主観的評定と対処およびその結果としての心理的状態を明らかにし, またそれぞれの時系列的な因果関係を考察することに関心が置かれる(小杉, 2002, p.3). 例えば, 渋倉・森(2004)は, 高校運動部活動で「競技力の低さ」(渋倉, 2001)がストレスに感じられる(主観的評定)ときに諦め(対処)や...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in体育学研究 Vol. 51; no. 4; pp. 493 - 503
Main Author 佐々木, 万丈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2006
日本体育学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.51.493

Cover

More Information
Summary:「I 問題の所在」スポーツ選手を対象とした心理学的ストレス研究の知見が, 近年, わが国でも蓄積されてきている(渋倉・小泉, 1999;加藤・石井, 1999;渋倉, 2001;渋倉・森, 2002;加藤・石井, 2003;渋倉・森, 2004). 心理学的ストレス研究は, ストレッサーに対する主観的評定と対処およびその結果としての心理的状態を明らかにし, またそれぞれの時系列的な因果関係を考察することに関心が置かれる(小杉, 2002, p.3). 例えば, 渋倉・森(2004)は, 高校運動部活動で「競技力の低さ」(渋倉, 2001)がストレスに感じられる(主観的評定)ときに諦め(対処)やすい選手は, 無気力(心理的状態)に陥っている可能性が高いという因果的関連を報告している. このような時系列的因果関係をふまえた知見は, 選手の認知的過程の理解に役立つと考えられ, 選手, 指導者双方にとって有益と思われる.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.51.493