腎機能別の過量投与危険率を根拠とした塩酸バンコマイシン (VCM) 初期投与量設定法
【緒言】Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症治療に用いられる塩酸バンコマイシン(Vancomycin:VCM)は, 腎機能に合わせた初期用量設定として, Moelleringら1)やMatzkeら2)によるノモグラムや母集団パラメータを基にした解析方法3)などが紹介されている. 一般的に初期投与量を求める場合には, 主にクレアチニンクリアランス(CLcr:mL/min)を参考として腎機能, 病状, 年齢等から判断して1回量(500mgか1000mg)と投与間隔(12時間刻み)を設定することが多い. しかし, VCMを投与される...
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| Published in | 医療薬学 Vol. 32; no. 12; pp. 1195 - 1203 |
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| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2006
日本医療薬学会 |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
| DOI | 10.5649/jjphcs.32.1195 |
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| Summary: | 【緒言】Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症治療に用いられる塩酸バンコマイシン(Vancomycin:VCM)は, 腎機能に合わせた初期用量設定として, Moelleringら1)やMatzkeら2)によるノモグラムや母集団パラメータを基にした解析方法3)などが紹介されている. 一般的に初期投与量を求める場合には, 主にクレアチニンクリアランス(CLcr:mL/min)を参考として腎機能, 病状, 年齢等から判断して1回量(500mgか1000mg)と投与間隔(12時間刻み)を設定することが多い. しかし, VCMを投与される患者は高齢者が多く, 血清クレアチニン値(Scr:mg/dL)からCLcrを推定した場合の誤差, 個体差のバラツキが大きいとされ4), VCM血中濃度が治療域を逸脱する危険率については十分に検討されていない. また, 一般に腎排泄型薬剤のノモグラムは, 薬物クリアランスとCLcrの関係から得られた回帰直線や, 一つのモデル式に基づいて求められた母集団パラメータを根拠として作成されている. しかし, 近年では腎排泄型薬剤であるジゴキシンの薬物クリアランスが, すべてのCLcr域で同様な相関性を示さないことも報告5)されており, 単一の回帰線やモデル式で全体を表現することの限界を示すものと考えられる. |
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| ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
| DOI: | 10.5649/jjphcs.32.1195 |