軸椎歯突起後方偽腫瘍の治療経験

軸椎歯突起後方偽腫瘍(Retro-odontoid pseudotumor:ROP)は,環軸関節の不安定性により生じると考えられているが,機序は未だに明らかではない.脊髄症状が出現した場合の手術方法に関しても一定の見解は得られていない.本研究の目的は,当院で経験したROP 5症例の治療成績を検討することである.2017年1月~2022年4月に上記診断に対して手術を行った5例.男性3例,女性2例,平均年齢76.6歳.術式,術前後の腫瘍の大きさ,ADI,合併症,JOAスコアの改善率を後ろ向きに調査した.固定併用群,除圧単独群ともにすべての患者のJOAスコアは改善した.腫瘍サイズは各群ともに1例ずつ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 4; pp. 758 - 760
Main Authors 柴田, 達也, 小川, 宗一郎, 眞田, 京一, 萩原, 秀祐, 塩川, 晃章, 田中, 潤, 山本, 卓明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.758

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Summary:軸椎歯突起後方偽腫瘍(Retro-odontoid pseudotumor:ROP)は,環軸関節の不安定性により生じると考えられているが,機序は未だに明らかではない.脊髄症状が出現した場合の手術方法に関しても一定の見解は得られていない.本研究の目的は,当院で経験したROP 5症例の治療成績を検討することである.2017年1月~2022年4月に上記診断に対して手術を行った5例.男性3例,女性2例,平均年齢76.6歳.術式,術前後の腫瘍の大きさ,ADI,合併症,JOAスコアの改善率を後ろ向きに調査した.固定併用群,除圧単独群ともにすべての患者のJOAスコアは改善した.腫瘍サイズは各群ともに1例ずつのみ縮小した.除圧群のうち1例で術後に前弓骨折が発生した.全例でJOAスコアの改善は認めたが不安定性のあるものに関しては固定術の併用が望ましいと思われる.除圧単独で行う場合は前弓骨折の可能性があるため固定の併用も考慮する必要があると思われる.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.758