明らかなGd造影効果を認めず嚢腫病変との鑑別を要した硬膜内神経鞘腫の1例

神経鞘腫は単純MRIにて比較的容易に認識でき,さらにガドリニウム(Gd)造影効果により他の腫瘍とも鑑別できることが多い.今回明らかなGd造影効果を認めないため脊柱管内嚢腫病変との鑑別が十分にできず,手術によって神経鞘腫と診断できた1例を経験したので報告する.症例は73歳男性,半年前に左殿部痛を自覚し当院を受診した.MRIにてL4/5レベルの脊柱管内にT1強調像およびT2強調像で均一な高信号を呈する長径13 mmの卵円形病変を認めた.腫瘤の実質部分は認めずGd造影効果も認めないため嚢腫病変を疑った.一旦症状は消失したが,3ヶ月後に両大腿後面痛が出現,再度のMRIで腫瘤は不均一な高信号に変化してい...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 2; pp. 337 - 341
Main Authors 濱田, 賢治, 清水, 建詞, 大友, 一, 森光, 洋介, 田原, 尚直, 今田, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2024
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.73.337

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Summary:神経鞘腫は単純MRIにて比較的容易に認識でき,さらにガドリニウム(Gd)造影効果により他の腫瘍とも鑑別できることが多い.今回明らかなGd造影効果を認めないため脊柱管内嚢腫病変との鑑別が十分にできず,手術によって神経鞘腫と診断できた1例を経験したので報告する.症例は73歳男性,半年前に左殿部痛を自覚し当院を受診した.MRIにてL4/5レベルの脊柱管内にT1強調像およびT2強調像で均一な高信号を呈する長径13 mmの卵円形病変を認めた.腫瘤の実質部分は認めずGd造影効果も認めないため嚢腫病変を疑った.一旦症状は消失したが,3ヶ月後に両大腿後面痛が出現,再度のMRIで腫瘤は不均一な高信号に変化していた.脊髄腫瘍内出血を疑い,L4椎弓切除+腫瘤摘出術を施行した.術後,両下肢痛は速やかに改善した.術後の病理組織検査にて嚢胞変性し出血を伴った脊髄神経鞘腫と診断された.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.337