労働災害による脊髄損傷者の25年間の推移とリハビリテーション転帰

労働災害での脊髄損傷像の特徴を明らかにする目的で,2018年までの約25年間に集計された脊髄損傷データベース5162例から,労災保険,受傷原因,性,年齢,麻痺レベル,麻痺程度(初診時麻痺程度AIS D以上),転帰などが明らかな4003例を対象として労災群と非労災群の群間比較を行った.労災群は1133例(28.4%)であり,男性1071例(94.5%),受傷時年齢47±15歳であった.労働災害での脊髄損傷例は比較的高齢の男性労働者が建築業で転落墜落事故による完全損傷対麻痺となり重症度も高い事例が多いことが明らかとなった.高齢少子化が顕著となってきたわが国の労働環境の中では今後,高齢女性の転倒によ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 587 - 589
Main Authors 永尾, 祐治, 池田, 真圭, 徳弘, 明博, 田口, 敏彦, 富永, 俊克, 寒竹, 司, 寺崎, 隼人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2023
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.72.587

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Summary:労働災害での脊髄損傷像の特徴を明らかにする目的で,2018年までの約25年間に集計された脊髄損傷データベース5162例から,労災保険,受傷原因,性,年齢,麻痺レベル,麻痺程度(初診時麻痺程度AIS D以上),転帰などが明らかな4003例を対象として労災群と非労災群の群間比較を行った.労災群は1133例(28.4%)であり,男性1071例(94.5%),受傷時年齢47±15歳であった.労働災害での脊髄損傷例は比較的高齢の男性労働者が建築業で転落墜落事故による完全損傷対麻痺となり重症度も高い事例が多いことが明らかとなった.高齢少子化が顕著となってきたわが国の労働環境の中では今後,高齢女性の転倒による胸腰椎圧迫骨折後に生じる遅発性脊髄対麻痺や非骨傷性頚髄損傷に伴う不全四肢麻痺を予測されるため対策が必要であると推察した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.587