慢性期に自然再開通が確認された急性内頸動脈非終末部閉塞症5 例の検討

要旨:急性内頸動脈閉塞症のうち,内頸動脈終末部以遠が側副血行で灌流される急性内頸動脈非終末部閉塞症(non-T ICA occlusion)に関して,慢性期に自然再開通を確認した自験例5 例について報告する.発症時は5 例とも軽症であり,閉塞側に血栓溶解療法や急性期血行再建術は行わず,内科治療のみを選択した.再開通は閉塞後39~859 日(中央値69 日)に確認した.2 例で再開通後に動脈解離を疑う所見を認めた.4 例は閉塞から自然再開通まで再発なく経過したが,1 例で閉塞側の側脳室後角周囲に無症候性脳梗塞を生じた.再開通後に内頸動脈起始部に高度狭窄が残存した2 例に対しCEA を施行した.急...

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Published in脳卒中 Vol. 41; no. 6; pp. 499 - 504
Main Authors 上田, 雅之, 井林, 賢志, 鈴木, 良介, 太田, 貴裕, 阿部, 新, 古田, 泰之, 酒井, 優, 藤谷, 茂太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2019
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10669

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Summary:要旨:急性内頸動脈閉塞症のうち,内頸動脈終末部以遠が側副血行で灌流される急性内頸動脈非終末部閉塞症(non-T ICA occlusion)に関して,慢性期に自然再開通を確認した自験例5 例について報告する.発症時は5 例とも軽症であり,閉塞側に血栓溶解療法や急性期血行再建術は行わず,内科治療のみを選択した.再開通は閉塞後39~859 日(中央値69 日)に確認した.2 例で再開通後に動脈解離を疑う所見を認めた.4 例は閉塞から自然再開通まで再発なく経過したが,1 例で閉塞側の側脳室後角周囲に無症候性脳梗塞を生じた.再開通後に内頸動脈起始部に高度狭窄が残存した2 例に対しCEA を施行した.急性内頸動脈閉塞症は慢性期に自然再開通することがあり,軽症の急性non-T ICA occlusion であった場合でも,再開通に関連して虚血性脳卒中の再発を来したり高度狭窄が残存する例が存在し得るため,慎重な経過観察が望ましいと考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10669