鼓室内ステロイド投与後の鼓膜穿孔残存率と耳管機能検査結果の関係について

要旨: 突発性難聴に対する鼓室内ステロイド投与後の鼓膜穿孔残存率と耳管機能検査結果に関連があるか検討した。対象は鼓室内ステロイド投与前に耳管機能検査を行った突発性難聴の罹患耳75耳である。耳管機能検査として①音響耳管法, ②トインビー法, ③バルサルバ法, ④鼻深呼吸法, ⑤鼻すすり法を行った。検査ごとに耳管機能を正常型, 狭窄型, 開放型, 判定困難に分類した。複数の検査で狭窄型を呈した19耳のうち3耳 (15.8%) で鼓膜穿孔が残存し, その他の56耳では1耳 (1.8%) のみに鼓膜穿孔が残存した。この両群の鼓膜穿孔残存率には有意差があった (p=0.0478)。音響耳管法の音源提示音...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 64; no. 2; pp. 186 - 194
Main Authors 守田, 雅弘, 深山, 善子, 小野, 修平, 中村, 健大, 茂木, 翼, 齋藤, 康一郎, 濵之上, 泰裕, 増田, 正次, 松田, 雄大, 尾川, 昌孝, 坂本, 龍太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2021
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.64.186

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Summary:要旨: 突発性難聴に対する鼓室内ステロイド投与後の鼓膜穿孔残存率と耳管機能検査結果に関連があるか検討した。対象は鼓室内ステロイド投与前に耳管機能検査を行った突発性難聴の罹患耳75耳である。耳管機能検査として①音響耳管法, ②トインビー法, ③バルサルバ法, ④鼻深呼吸法, ⑤鼻すすり法を行った。検査ごとに耳管機能を正常型, 狭窄型, 開放型, 判定困難に分類した。複数の検査で狭窄型を呈した19耳のうち3耳 (15.8%) で鼓膜穿孔が残存し, その他の56耳では1耳 (1.8%) のみに鼓膜穿孔が残存した。この両群の鼓膜穿孔残存率には有意差があった (p=0.0478)。音響耳管法の音源提示音圧が検査装置の上限である 123dB を示した耳が2耳あり, 2耳とも鼓膜穿孔が残存した。耳管機能検査の結果が, 鼓室内ステロイド投与を積極的に行うか否か, 医師, 患者が方針を決める際の有益な情報となる可能性が示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.64.186