剣道の突きによる閉塞性頸動脈解離が再開通し脳梗塞に至った1 例

68 歳,男性.剣道で右頸部を強く突かれ,右目に一過性霧視があり救急搬送された.来院時,症状は消失し神経学的異常を認めなかったが,3DCTA にて右総頸動脈閉塞を認めた.抗血小板剤を開始したが受傷後36 時間,頸動脈再開通により右中大脳動脈領域の急性期脳梗塞となり,ヘパリンを開始したが脳梗塞が進行し外減圧術を行った.その後,頸動脈エコーにて総頸動脈にフラップとポケットを伴う解離病変が残存し,受傷の3 カ月後,再梗塞予防目的に頸動脈内膜剝離術を行った.リハビリにてmRS3 まで回復したが,重度の左麻痺を残している.外傷性頸動脈損傷は脳卒中リスクが非常に高いことを認識し,病型を判断したうえで抗血栓...

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Published in脳卒中 Vol. 38; no. 2; pp. 125 - 130
Main Authors 橋出, 秀清, 三浦, 直久, 厚地, 正子, 草野, 良, 米山, 琢, 森澤, 華子, 安田, 崇之, 岡田, 芳和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2016
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10352

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Summary:68 歳,男性.剣道で右頸部を強く突かれ,右目に一過性霧視があり救急搬送された.来院時,症状は消失し神経学的異常を認めなかったが,3DCTA にて右総頸動脈閉塞を認めた.抗血小板剤を開始したが受傷後36 時間,頸動脈再開通により右中大脳動脈領域の急性期脳梗塞となり,ヘパリンを開始したが脳梗塞が進行し外減圧術を行った.その後,頸動脈エコーにて総頸動脈にフラップとポケットを伴う解離病変が残存し,受傷の3 カ月後,再梗塞予防目的に頸動脈内膜剝離術を行った.リハビリにてmRS3 まで回復したが,重度の左麻痺を残している.外傷性頸動脈損傷は脳卒中リスクが非常に高いことを認識し,病型を判断したうえで抗血栓療法や血管内治療,直達手術を含めた積極的治療を考慮する必要がある.外傷性頸動脈解離の中でも閉塞性病変は特に稀で臨床経過も様々であることから,1 例として報告した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10352