聴覚障害者における早口の音声聴取に文の有意味性が及ぼす影響

要旨: 本研究の目的は, 聴覚障害者の日常生活における早口の音声聴取能について, 自然な早口の音声を用いて検討する。さらに, 早口の音声聴取に文の有意味性が関与するのかについても検討することであった。対象は人工内耳装用者15名と補聴器装用者16名であり, 対照群は健聴者10名であった。早口音声はニュース番組におけるアナウンサーの発話速度を基準速度とし, 基準速度文 (1倍速文), 1.5倍速度文および2.0倍速度文を作成した。検査文は有意味文と構文構造を崩さない無意味文条件を設定し, 条件間で比較した。 その結果, 補聴器装用者及び人工内耳装用者は早口の音声聴取能が健聴者に比し有意に低下し,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 61; no. 3; pp. 209 - 215
Main Authors 坂本, 圭, 城間, 将江, 池園, 哲郎, 荒木, 隆一郎, 小渕, 千絵, 松田, 帆, 関, 恵美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.06.2018
日本聴覚医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.61.209

Cover

More Information
Summary:要旨: 本研究の目的は, 聴覚障害者の日常生活における早口の音声聴取能について, 自然な早口の音声を用いて検討する。さらに, 早口の音声聴取に文の有意味性が関与するのかについても検討することであった。対象は人工内耳装用者15名と補聴器装用者16名であり, 対照群は健聴者10名であった。早口音声はニュース番組におけるアナウンサーの発話速度を基準速度とし, 基準速度文 (1倍速文), 1.5倍速度文および2.0倍速度文を作成した。検査文は有意味文と構文構造を崩さない無意味文条件を設定し, 条件間で比較した。 その結果, 補聴器装用者及び人工内耳装用者は早口の音声聴取能が健聴者に比し有意に低下し, 人工内耳装用者は2.0倍速文において補聴器装用者より有意に低下した。また, 文の有意味性については, 補聴器装用者及び人工内耳装用者は基準速度文と1.5倍速文においては文脈から推測し聴取を補っているが, 2.0倍速文のように発話速度が速いと文脈からの推測は働きにくくなることが明らかになった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.61.209