ABR の振幅変動および cochlear synaptopathy 検出についての検討

要旨: 難聴・耳鳴で来院され, 純音聴力が正常で, 語音弁別能の低下および ABRⅠ波の振幅低下があり cochlear synaptopathy と推定される例があった。 ABR 振幅の個体内変動について正常聴力者と中等度感音難聴者を対象に検討した。 ABR の振幅のばらつきは背景雑音ではなく反応本体に起因すると考えられた。 ABRⅠ波振幅は正規分布をとるとみなせた。 加算回数が増えるとⅠ波振幅の標準偏差は理論通りに小さくなった。Ⅰ波の振幅変動と潜時のばらつきの関連が理論的に予測されたが明確ではなかった。 難聴群 (79dB) と正常群の ABRⅠ波振幅を比較すると, 正常 40dB との比...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 61; no. 2; pp. 145 - 153
Main Authors 神崎, 仁, 泰地, 秀信, 岡本, 康秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2018
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.61.145

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Summary:要旨: 難聴・耳鳴で来院され, 純音聴力が正常で, 語音弁別能の低下および ABRⅠ波の振幅低下があり cochlear synaptopathy と推定される例があった。 ABR 振幅の個体内変動について正常聴力者と中等度感音難聴者を対象に検討した。 ABR の振幅のばらつきは背景雑音ではなく反応本体に起因すると考えられた。 ABRⅠ波振幅は正規分布をとるとみなせた。 加算回数が増えるとⅠ波振幅の標準偏差は理論通りに小さくなった。Ⅰ波の振幅変動と潜時のばらつきの関連が理論的に予測されたが明確ではなかった。 難聴群 (79dB) と正常群の ABRⅠ波振幅を比較すると, 正常 40dB との比較では難聴群の方が有意に大きく, 正常 80dB との比較では難聴群の方が有意に小さかった。 同じ閾値上レベル (難聴群と正常 40dB) での比較では難聴群の方が有意に CV (標準偏差/平均) が小さかった, いずれも高い音圧レベルでは lower-SR fiberが働き, 難聴者ではその機能が低下しているとして説明可能であった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.61.145