Drip, ship and retrieve法による治療が初めて完遂された長崎県対馬発症脳主幹動脈閉塞症の1例
離島発症脳主幹動脈閉塞症(LVO)に対する血栓回収療法(MT)の報告は少なく,全国的診療実態は明らかではない.今回,長崎県下最遠隔離島(対馬)発症のLVO(76歳男性:脳底動脈閉塞症)において,本土基幹施設と連携した,離島施設前脳卒中ホットラインシステム(I-SHOT)を介し,初のdrip, ship and retrieve(DSR)法を経験した.発症後約5時間で再開通し,転帰は良好であった.遠隔離島では,医療環境上の制約で専門的緊急治療が困難な現状があり,MT施行可能な機会は限られている.当院でも過去6例のLVOでDSR法によるMTを企図したが,時間超過や天候悪化・梗塞完成等の理由で断念し...
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| Published in | 脳卒中 Vol. 44; no. 4; pp. 375 - 380 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2022
日本脳卒中学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
| DOI | 10.3995/jstroke.10976 |
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| Summary: | 離島発症脳主幹動脈閉塞症(LVO)に対する血栓回収療法(MT)の報告は少なく,全国的診療実態は明らかではない.今回,長崎県下最遠隔離島(対馬)発症のLVO(76歳男性:脳底動脈閉塞症)において,本土基幹施設と連携した,離島施設前脳卒中ホットラインシステム(I-SHOT)を介し,初のdrip, ship and retrieve(DSR)法を経験した.発症後約5時間で再開通し,転帰は良好であった.遠隔離島では,医療環境上の制約で専門的緊急治療が困難な現状があり,MT施行可能な機会は限られている.当院でも過去6例のLVOでDSR法によるMTを企図したが,時間超過や天候悪化・梗塞完成等の理由で断念した.近年,I-SHOTの時短効果により,MT可能な時間内に本土へ到着する例が増加している.対馬発症LVO例で初のDSR法が奏功した症例を提示し,過去のLVO例を踏まえて報告する. |
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| ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
| DOI: | 10.3995/jstroke.10976 |