チトクロムc-チトクロムc酸化酵素複合体で見つかった新しい蛋白質間相互作用様式

「1. はじめに」チトクロムc(Cyt.c)はチトクロムbc1複合体(bc1)から電子を受け取り, チトクロムc酸化酵素(CcO)に電子を渡す. 1970年代にCyt.cの構造が決定されて以来, Cyt.cが数多くある分子の中からbc1とCcOを選んで電子の授受を行う機構は興味深い研究課題であった. 1970年代後半から1980年代前半にかけて, Cyt.cの化学修飾による研究が行われて, CcOとの相互認識機構が提案された. しかし, 1995年にCcOの構造が決定された後もCyt.c-CcO複合体の結晶化は困難を極めた. CcOはCyt.cから電子を受け取り, 酸素を水に還元する過程でプロ...

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Published in生物物理 Vol. 57; no. 5; pp. 252 - 253
Main Authors 島田, 悟, 伊藤–新澤, 恭子, 月原, 冨武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2017
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.57.252

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Summary:「1. はじめに」チトクロムc(Cyt.c)はチトクロムbc1複合体(bc1)から電子を受け取り, チトクロムc酸化酵素(CcO)に電子を渡す. 1970年代にCyt.cの構造が決定されて以来, Cyt.cが数多くある分子の中からbc1とCcOを選んで電子の授受を行う機構は興味深い研究課題であった. 1970年代後半から1980年代前半にかけて, Cyt.cの化学修飾による研究が行われて, CcOとの相互認識機構が提案された. しかし, 1995年にCcOの構造が決定された後もCyt.c-CcO複合体の結晶化は困難を極めた. CcOはCyt.cから電子を受け取り, 酸素を水に還元する過程でプロトンを能動輸送する. その反応でCyt.cから電子を受け取る過程が律速になっている. Cyt.cはその存在比(bc1:CcO:Cyt.c = 3:7:9)からbc1に対しては多く存在するが, CcOとはほぼ同数である.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.57.252