座位での後頭蓋窩手術において経食道心エコーで早期に空気塞栓を検出し得た1症例

座位手術で,経食道心エコー図法によって,早期に空気塞栓を検出できた症例を経験したので報告する.症例は44歳の男性で,座位による脳動静脈奇形摘出術が予定された.全身麻酔導入後,右内頚静脈に中心静脈カテーテルを挿入し,経食道心エコー図法のプローブを挿入した.後頭骨開頭中に経食道心エコー図で右心房内に高輝度所見があり,中心静脈カテーテルから約10mlの空気が吸引できた.このとき,呼気終末二酸化炭素分圧の低下はなかった.矢状静脈洞に空気流入部位を発見し指で圧迫したところ経食道心エコー図で高輝度所見はなくなった.呼気終末二酸化炭素分圧が低下する前に経食道心エコーで右心房内に流入した空気を発見でき,静脈空...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 31; no. 7; pp. 996 - 998
Main Authors 次田, 佳代, 信川, 泰成, 田畑, 麻里, 重見, 研司, 村上, 剛, 松木, 悠佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.31.996

Cover

More Information
Summary:座位手術で,経食道心エコー図法によって,早期に空気塞栓を検出できた症例を経験したので報告する.症例は44歳の男性で,座位による脳動静脈奇形摘出術が予定された.全身麻酔導入後,右内頚静脈に中心静脈カテーテルを挿入し,経食道心エコー図法のプローブを挿入した.後頭骨開頭中に経食道心エコー図で右心房内に高輝度所見があり,中心静脈カテーテルから約10mlの空気が吸引できた.このとき,呼気終末二酸化炭素分圧の低下はなかった.矢状静脈洞に空気流入部位を発見し指で圧迫したところ経食道心エコー図で高輝度所見はなくなった.呼気終末二酸化炭素分圧が低下する前に経食道心エコーで右心房内に流入した空気を発見でき,静脈空気塞栓症の検出における経食道心エコー図法の有用性を再確認した.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.31.996