徐放性塩化カリウム錠後発医薬品で生じたゴーストタブレットの要因分析

「緒言」 徐放性製剤は, 基剤の特性を利用して製剤からの主薬の拡散や溶出を制御するもので, 服用後に一定時間, 一定量の薬物が連続して放出されるように設計されている. 製剤の徐放化は服用回数を減らすことによって服薬アドヒアランスを向上させるとともに, 薬物の消化管吸収が緩徐に進行することで薬理作用の持続化や副作用の軽減が期待できる等, 薬物療法上様々な利点をもたらす. 一方, 徐放性製剤では消化管内で主薬を放出した後, 錠剤の剤皮がそのまま糞便中に排泄されることがある. この現象はghost tablet(GT)またはghost pillとよばれ, これまでオキシコドン塩酸塩錠ほか, 様々な薬...

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Published in医療薬学 Vol. 44; no. 10; pp. 510 - 515
Main Authors 齊藤, 浩司, 岩尾, 一生, 常見, 昌順, 奈良岡, 広幸, 市村, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.10.2018
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.44.510

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Summary:「緒言」 徐放性製剤は, 基剤の特性を利用して製剤からの主薬の拡散や溶出を制御するもので, 服用後に一定時間, 一定量の薬物が連続して放出されるように設計されている. 製剤の徐放化は服用回数を減らすことによって服薬アドヒアランスを向上させるとともに, 薬物の消化管吸収が緩徐に進行することで薬理作用の持続化や副作用の軽減が期待できる等, 薬物療法上様々な利点をもたらす. 一方, 徐放性製剤では消化管内で主薬を放出した後, 錠剤の剤皮がそのまま糞便中に排泄されることがある. この現象はghost tablet(GT)またはghost pillとよばれ, これまでオキシコドン塩酸塩錠ほか, 様々な薬剤で報告されている. カリウム(K)補充を目的として用いられている徐放性塩化カリウム錠(KCl徐放錠)は, 胃粘膜障害を軽減させることを目的にKClをワックスマトリックス構造内に分散させた製剤である. 現在国内においては, KCl徐放錠として先発医薬品(先発品)のスローケー(R)錠と後発医薬品(GE品)のケーサプライ(R)錠の2種が薬価収載されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.44.510