初回脳血管検査より6 年を経て新生した破裂前大脳動脈瘤の1 手術例

要旨:過去に頭部MRI,MRA を施行され異常所見を認めなかったにもかかわらず,新生脳動脈瘤の破裂によりくも膜下出血を来した症例を経験したので報告する.症例は69 歳女性.6 年前物忘れを主訴に頭部MRI,MRA を施行したが特に異常を認めなかった.今回突然の激しい頭痛で発症しCT にてくも膜下出血と診断した.頭部MRA,脳血管造影にて過去には認めていない遠位部前大脳動脈瘤を認め,脳動脈瘤クリッピング術を施行した.術後の経過は良好であり,脳血管造影で脳動脈瘤の消失を認めた.新生脳動脈瘤の発生に関しては過去の報告が散見されるが,すでに動脈瘤が発見された症例における新たな瘤の発生を報告したものが多...

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Published in脳卒中 Vol. 36; no. 5; pp. 342 - 346
Main Authors 川上, 理, 松林, 景子, 山田, 圭介, 柘植, 雄一郎, 児島, 正裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2014
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.36.342

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Summary:要旨:過去に頭部MRI,MRA を施行され異常所見を認めなかったにもかかわらず,新生脳動脈瘤の破裂によりくも膜下出血を来した症例を経験したので報告する.症例は69 歳女性.6 年前物忘れを主訴に頭部MRI,MRA を施行したが特に異常を認めなかった.今回突然の激しい頭痛で発症しCT にてくも膜下出血と診断した.頭部MRA,脳血管造影にて過去には認めていない遠位部前大脳動脈瘤を認め,脳動脈瘤クリッピング術を施行した.術後の経過は良好であり,脳血管造影で脳動脈瘤の消失を認めた.新生脳動脈瘤の発生に関しては過去の報告が散見されるが,すでに動脈瘤が発見された症例における新たな瘤の発生を報告したものが多く,本症例のような初回脳血管検査正常例での脳動脈瘤の発生および破裂は非常に稀である.本例では今後も新生脳動脈瘤発生の危険性があると考えられ,厳重に血圧をコントロールし頭部MRA などでの長期フォローが必要と考えている.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.36.342