両側肺動脈閉塞に対して緊急手術を施行した肺動脈原発平滑筋肉腫の1例

症例は58歳男性。発熱,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診したが, 改善を得ず紹介受診となり入院となった。胸部造影CT検査にて肺動脈内に造影欠損を認め, 左肺動脈完全閉塞と右肺動脈高度狭窄を来していた。第4病日に呼吸不全, ショックとなり両側肺動脈閉塞と判断し緊急手術を行った。手術では腫瘍による両側肺動脈閉塞を認め部分的に腫瘍を摘出し閉塞は解除され, 病理所見は平滑筋肉腫であった。その後, 第18病日に軽快退院した。しかし, 腹痛を自覚し第39病日に再入院となった。胸腹部造影CT検査にて肺動脈内腫瘤影の再増大や腹腔内巨大腫瘤を認め化学療法を検討したが,第41病日に心肺停止となり永眠された。 病理解剖...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 40 - 47
Main Authors 松下, 尚憲, 飯田, 真岐, 柴田, 朋彦, 飯田, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.01.2024
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.20.1_40

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Summary:症例は58歳男性。発熱,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診したが, 改善を得ず紹介受診となり入院となった。胸部造影CT検査にて肺動脈内に造影欠損を認め, 左肺動脈完全閉塞と右肺動脈高度狭窄を来していた。第4病日に呼吸不全, ショックとなり両側肺動脈閉塞と判断し緊急手術を行った。手術では腫瘍による両側肺動脈閉塞を認め部分的に腫瘍を摘出し閉塞は解除され, 病理所見は平滑筋肉腫であった。その後, 第18病日に軽快退院した。しかし, 腹痛を自覚し第39病日に再入院となった。胸腹部造影CT検査にて肺動脈内腫瘤影の再増大や腹腔内巨大腫瘤を認め化学療法を検討したが,第41病日に心肺停止となり永眠された。 病理解剖にて死因は腫瘍による両側肺動脈閉塞と考えられた。肺動脈原発肉腫は稀な疾患であり肺血栓塞栓症の初期診断となることも多く,鑑別が重要である。予後不良だが外科的切除で長期予後も望めるため, 早期の診断, 治療が重要である。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.20.1_40