若年者中大脳動脈末梢部に発生したlarge aneurysmの1治験例

一般にウイリス動脈輪周辺部位以外の末梢部に発生する動脈瘤はまれである. しかもその大半は外傷性, および細菌性の動脈瘤で先天性の真性動脈瘤はきわめてまれといえる1)12). 今回われわれは若年者に発生した先天性と考えられる, 中大脳動脈末梢部のlarge aneurysmの1例を経験したので報告する. 症例 27歳男性. 交通事故による軽度の頭部打撲で, 同日当科受診した. 神経学的には異常はなかったが, 頭部CTにて左シルビウス裂内に径1cmの石灰化像を認めた. MRIでは同部位がflow voidを呈していたため(Fig. 1), 動脈瘤の疑いにて精査目的で入院となった. 入院時血液生化学...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 26; no. 5; pp. 356 - 360
Main Authors 山本, 勇夫, 川崎, 隆, 小嶋, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1998
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.26.5_356

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Summary:一般にウイリス動脈輪周辺部位以外の末梢部に発生する動脈瘤はまれである. しかもその大半は外傷性, および細菌性の動脈瘤で先天性の真性動脈瘤はきわめてまれといえる1)12). 今回われわれは若年者に発生した先天性と考えられる, 中大脳動脈末梢部のlarge aneurysmの1例を経験したので報告する. 症例 27歳男性. 交通事故による軽度の頭部打撲で, 同日当科受診した. 神経学的には異常はなかったが, 頭部CTにて左シルビウス裂内に径1cmの石灰化像を認めた. MRIでは同部位がflow voidを呈していたため(Fig. 1), 動脈瘤の疑いにて精査目的で入院となった. 入院時血液生化学所見は, 腎機能, 肝機能は正常で, 血清α1アンチトリプシンは132mg/dlと正常範囲内であった(正常:95-182mg/dl). 心エコー検査で, 先天性心奇形, 弁膜症;腫瘍などの異常はなく, また重症頭部外傷, 重症感染症の既往はなかった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.26.5_356