拡張腸管切除術が有用であった小児重症慢性機能性便秘症の1例

症例は9 歳男児.乳児期より長期にわたり便汚染・失禁を認めており,画像検査では直腸を中心とする部分的な腸管拡張と同部位に巨大な便腫瘤をみとめた.摘便を施行後,直腸粘膜生検を施行し,Hirschsprung 病などの器質疾患は否定された.慢性便秘の最重症例として,以後の排便管理が重要と考えたが,父子家庭であること,患児が肛門操作にトラウマがあることなどより,保存治療の長期継続が困難な状況であった.このため家族の希望もあり,拡張腸管切除術を施行した.手術所見ではS 状結腸から直腸Rs 部にかけて著明な拡張を認め,30 cm の腸管切除を施行した.吻合は機械吻合で行った.術後の排便状態は良好で,社会...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 51; no. 7; pp. 1147 - 1152
Main Authors 照井, 慶太, 東本, 恭幸, 齋藤, 江里子, 大橋, 研介, 佐藤, 嘉治, 岩井, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2015
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.51.7_1147

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Summary:症例は9 歳男児.乳児期より長期にわたり便汚染・失禁を認めており,画像検査では直腸を中心とする部分的な腸管拡張と同部位に巨大な便腫瘤をみとめた.摘便を施行後,直腸粘膜生検を施行し,Hirschsprung 病などの器質疾患は否定された.慢性便秘の最重症例として,以後の排便管理が重要と考えたが,父子家庭であること,患児が肛門操作にトラウマがあることなどより,保存治療の長期継続が困難な状況であった.このため家族の希望もあり,拡張腸管切除術を施行した.手術所見ではS 状結腸から直腸Rs 部にかけて著明な拡張を認め,30 cm の腸管切除を施行した.吻合は機械吻合で行った.術後の排便状態は良好で,社会生活における著明なQOL の改善が得られた.術後は内服薬などの保存治療を継続していたが,術後3 年6 か月で治療を終了した.小児重症慢性便秘症において,手術適応や術式には十分な検討が必要であるが,外科治療が有用となる症例があると思われた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.51.7_1147