カルシウムを用いた選択的動脈内刺激物注入試験が診断に有用であった膵ガストリノーマの1例

症例は59歳の男性.慢性下痢に対して検査したところ,血清ガストリンが5650pg/mlと高値であった.Zollinger-Ellison症候群と診断されたが,画像診断で腫瘍は描出できなかった.カルシウムを用いた選択的動脈内刺激物注入試験を施行したところ,十二指腸または膵頭部に腫瘍の存在が疑われた.当院へ紹介された後に施行した三相ダイナミックCTで,膵頭部背側に11mmの腫瘍が描出されたため,膵ガストリノーマと診断し,膵腫瘍核出術を施行した.病理組織学的検査で,腫瘍は神経内分泌腫瘍であり,ガストリン染色陽性であった.手術翌日に,血中ガストリン値は115pg/mlと正常になり,術後11日目に退院し...

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Published in膵臓 Vol. 24; no. 2; pp. 184 - 189
Main Authors 土井, 隆一郎, 岩永, 康裕, 高田, 泰次, 増井, 俊彦, 川口, 義弥, 大橋, 憲嗣, 上本, 伸二, 加茂, 直子, 今井, 寿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2009
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.24.184

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Summary:症例は59歳の男性.慢性下痢に対して検査したところ,血清ガストリンが5650pg/mlと高値であった.Zollinger-Ellison症候群と診断されたが,画像診断で腫瘍は描出できなかった.カルシウムを用いた選択的動脈内刺激物注入試験を施行したところ,十二指腸または膵頭部に腫瘍の存在が疑われた.当院へ紹介された後に施行した三相ダイナミックCTで,膵頭部背側に11mmの腫瘍が描出されたため,膵ガストリノーマと診断し,膵腫瘍核出術を施行した.病理組織学的検査で,腫瘍は神経内分泌腫瘍であり,ガストリン染色陽性であった.手術翌日に,血中ガストリン値は115pg/mlと正常になり,術後11日目に退院した.カルシウムを用いた選択的動脈内刺激物注入試験は,ガストリノーマの局在診断法として有用であると考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.24.184