破裂脳動脈瘤症例に対するUrokinaseおよびNicardipineの脳槽内投与の有用性について

「はじめに」脳血管攣縮は, 破裂脳動脈瘤患者の予後を左右する最大の因子の一つである. しかし, 脳血管攣縮の原因は多くの研究にもかかわらず現在も明らかでなく, したがってその治療法も確立していないのが現状である. 以前より, 脳血管攣縮の原因としてクモ膜下血腫が重要視され, 早期手術による積極的なクモ膜下血腫除去が脳血管攣縮の予防に有用であるとの報告がされてきた. しかし, 機械的なクモ膜下血腫除去には限界があり, 血腫が固い場合には血腫除去に難渋することもしばしば経験される. 著者らは, 破裂脳動脈瘤患者に対して, 急性期手術による可及的血腫除去と脳槽ドレナージを併用し, 症候性脳血管攣縮を...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 21; no. 1; pp. 17 - 22
Main Authors 西原, 潤, 榊, 三郎, 畠山, 隆雄, 大上, 史朗, 中村, 寿, 酒向, 正春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1993
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.21.1_17

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Summary:「はじめに」脳血管攣縮は, 破裂脳動脈瘤患者の予後を左右する最大の因子の一つである. しかし, 脳血管攣縮の原因は多くの研究にもかかわらず現在も明らかでなく, したがってその治療法も確立していないのが現状である. 以前より, 脳血管攣縮の原因としてクモ膜下血腫が重要視され, 早期手術による積極的なクモ膜下血腫除去が脳血管攣縮の予防に有用であるとの報告がされてきた. しかし, 機械的なクモ膜下血腫除去には限界があり, 血腫が固い場合には血腫除去に難渋することもしばしば経験される. 著者らは, 破裂脳動脈瘤患者に対して, 急性期手術による可及的血腫除去と脳槽ドレナージを併用し, 症候性脳血管攣縮を減少させうることをすでに報告した. しかしながら, このような治療を行っても, クモ膜下腔よりの血腫の排除が遅延し, そのために症候性脳血管攣縮が発生することが少なからず存在した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.21.1_17