医療事故の法と事故調査のあり方
2014年の医療法改正により創設された医療事故調査制度は,医療訴訟の増加や刑事事件化を契機とし,2008年の「医療安全調査委員会」設置案や「モデル事業」を踏まえ,刑事手続や行政処分とは独立した医療安全目的の制度とされた.①院内事故調査の義務化,②「医療事故調査・支援センター」による事故調査の2本立てであるが,運用に向けた課題は多く,医療機関管理者には十分な制度理解と適正な判断が求められる.一般に,医療事故調査には「インシデント型」と「アクシデント型」があり,後者では紛争化予防の機能が認められる一方,再発防止策の発見は容易でない.今回の制度は「アクシデント型」であり,効果については運用状況を精査...
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          | Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 36; no. 7; pp. 710 - 717 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本臨床麻酔学会
    
        15.11.2016
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0285-4945 1349-9149  | 
| DOI | 10.2199/jjsca.36.710 | 
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| Summary: | 2014年の医療法改正により創設された医療事故調査制度は,医療訴訟の増加や刑事事件化を契機とし,2008年の「医療安全調査委員会」設置案や「モデル事業」を踏まえ,刑事手続や行政処分とは独立した医療安全目的の制度とされた.①院内事故調査の義務化,②「医療事故調査・支援センター」による事故調査の2本立てであるが,運用に向けた課題は多く,医療機関管理者には十分な制度理解と適正な判断が求められる.一般に,医療事故調査には「インシデント型」と「アクシデント型」があり,後者では紛争化予防の機能が認められる一方,再発防止策の発見は容易でない.今回の制度は「アクシデント型」であり,効果については運用状況を精査する必要がある. | 
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| ISSN: | 0285-4945 1349-9149  | 
| DOI: | 10.2199/jjsca.36.710 |