主膵管拡張と膵嚢胞を合併した1型自己免疫性膵炎の一切除例

72歳男性.近医にて膵頭部腫瘤を指摘され,前医でのEUSおよびEUS-FNAの結果から膵管内乳頭粘液性腺癌が強く疑われ,手術目的で当科紹介受診となった.腹部造影CTで,膵頭体部に比較的境界明瞭な乏血性腫瘤像,その尾側に限局的に7mmに拡張した主膵管を認めた.MRCPでは,膵頭体部に数珠状の膵管分枝の拡張を認めた.以上から混合型膵管内乳頭粘液性腺癌の診断のもと,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の肉眼像では,膵頭体部に小嚢胞を包含する白色充実性腫瘤を認めた.組織学的には,腫瘤部で嚢胞状に拡張した膵管周囲にリンパ球と形質細胞を主体とする炎症細胞の浸潤と線維化を認めた.IgG,IgG4...

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Published in膵臓 Vol. 30; no. 2; pp. 219 - 226
Main Authors 児玉, 良典, 宮本, 敦史, 福田, 泰也, 眞能, 正幸, 井岡, 達也, 浅岡, 忠史, 森, 清, 蘆田, 玲子, 中森, 正二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2015
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.30.219

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Summary:72歳男性.近医にて膵頭部腫瘤を指摘され,前医でのEUSおよびEUS-FNAの結果から膵管内乳頭粘液性腺癌が強く疑われ,手術目的で当科紹介受診となった.腹部造影CTで,膵頭体部に比較的境界明瞭な乏血性腫瘤像,その尾側に限局的に7mmに拡張した主膵管を認めた.MRCPでは,膵頭体部に数珠状の膵管分枝の拡張を認めた.以上から混合型膵管内乳頭粘液性腺癌の診断のもと,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の肉眼像では,膵頭体部に小嚢胞を包含する白色充実性腫瘤を認めた.組織学的には,腫瘤部で嚢胞状に拡張した膵管周囲にリンパ球と形質細胞を主体とする炎症細胞の浸潤と線維化を認めた.IgG,IgG4の免疫染色検査ではIgG4/IgG比は90%以上で,花筵状線維化,閉塞性静脈炎の所見も認め,1型自己免疫性膵炎と診断した.膵管上皮に膵管内乳頭粘液性腫瘍を示唆する乳頭状の増殖像は認めなかった.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.219