門脈輪状膵の鉤状突起に発生した膵神経内分泌腫瘍の1例

症例は78歳,女性.近医にて膵頭部腫瘤を指摘された.前医での造影CT検査にて膵鉤状突起に30mm大の強く造影される腫瘤を認め,超音波内視鏡下針生検にて膵神経内分泌腫瘍と診断され,手術目的に当院紹介となった.膵頭十二指腸切除術を施行する際,門脈直上で膵切離し,腫瘍を含めた膵鉤状突起を門脈から剥離していくと膵は門脈左背側から膵体部に癒合することが確認され門脈輪状膵と診断した.門脈背側の膵は自動縫合器で離断し,主膵管が走行する腹側の膵は膵空腸吻合を施行した.術後合併症はなく術後17日目に退院となった.術前CTを再検討しても膵鉤状突起に腫瘍があるため,門脈輪状膵を指摘することは困難であった.門脈輪状膵...

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Published in膵臓 Vol. 36; no. 2; pp. 128 - 134
Main Authors 高台, 真太郎, 三浦, 光太郎, 清水, 貞利, 金沢, 景繁, 村田, 哲洋, 白井, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.04.2021
日本膵臓学会
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.36.128

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Summary:症例は78歳,女性.近医にて膵頭部腫瘤を指摘された.前医での造影CT検査にて膵鉤状突起に30mm大の強く造影される腫瘤を認め,超音波内視鏡下針生検にて膵神経内分泌腫瘍と診断され,手術目的に当院紹介となった.膵頭十二指腸切除術を施行する際,門脈直上で膵切離し,腫瘍を含めた膵鉤状突起を門脈から剥離していくと膵は門脈左背側から膵体部に癒合することが確認され門脈輪状膵と診断した.門脈背側の膵は自動縫合器で離断し,主膵管が走行する腹側の膵は膵空腸吻合を施行した.術後合併症はなく術後17日目に退院となった.術前CTを再検討しても膵鉤状突起に腫瘍があるため,門脈輪状膵を指摘することは困難であった.門脈輪状膵は非常に稀な膵形態異常であるが,膵切除の際は術後膵液瘻発生のリスクとなり注意が必要である.術前診断が困難な場合もあり,普段から門脈輪状膵の形態異常を念頭におき手術に臨むことが重要と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.36.128