下咽頭癌術後胆嚢転移の1例

症例は68歳,男性.2年前に下咽頭癌に対して咽喉頭食道摘出,両側リンパ節郭清,甲状腺全摘を施行し,病理診断は扁平上皮癌,pT3N2bM0 StageIVAであった.経過観察のPET検査で胆嚢にFDGの異常集積を認め,CTでは胆嚢底部から頸部にかけて腫瘤を認め,胆嚢癌と診断した.肝中央下区域切除術,肝外胆管切除術を施行した.胆嚢は全体的に白色調で,底部から頸部にかけて硬く腫瘤状になっていた.病理組織所見では粘膜下に腫瘍細胞を認め,一部では角化が見られた.粘膜内に病変はなく既往の下咽頭癌と同様の組織像を呈しており,免疫染色ではp40が陽性,p53が陰性であったため下咽頭癌の転移と診断した.転移性胆...

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Published in胆道 Vol. 34; no. 4; pp. 680 - 686
Main Authors 吉住, 有人, 今井, 俊一, 板野, 理, 宮崎, 勝, 加藤, 厚, 羽鳥, 隆, 冨澤, 聡史, 相田, 真介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.10.2020
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.34.680

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Summary:症例は68歳,男性.2年前に下咽頭癌に対して咽喉頭食道摘出,両側リンパ節郭清,甲状腺全摘を施行し,病理診断は扁平上皮癌,pT3N2bM0 StageIVAであった.経過観察のPET検査で胆嚢にFDGの異常集積を認め,CTでは胆嚢底部から頸部にかけて腫瘤を認め,胆嚢癌と診断した.肝中央下区域切除術,肝外胆管切除術を施行した.胆嚢は全体的に白色調で,底部から頸部にかけて硬く腫瘤状になっていた.病理組織所見では粘膜下に腫瘍細胞を認め,一部では角化が見られた.粘膜内に病変はなく既往の下咽頭癌と同様の組織像を呈しており,免疫染色ではp40が陽性,p53が陰性であったため下咽頭癌の転移と診断した.転移性胆嚢腫瘍は非常に稀であり,原発腫瘍としては腎細胞癌,悪性黒色腫,胃癌,乳癌などの報告が散見されるが下咽頭癌の胆嚢転移の本邦報告例は認めず,非常に稀な1切除例を経験した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.34.680