多発気管憩室の1例

背景.気管憩室は気管の形態異常である.近年は画像診断技術の向上により報告例が散見されるようになったが,多発例は比較的稀である.症例.58歳男性.主訴は胸部CT異常像.咳嗽症状精査の胸部CTで気管近傍に異常像を認め,縦隔気腫の疑いで紹介受診した.胸部CTで気管右背側と気管分岐部に囊胞性病変を2か所認めた.気管支鏡検査では気管右背側と気管分岐部にそれぞれ小孔を認め,多発気管憩室と診断した.咳嗽症状は咳喘息と診断し,禁煙指導のうえ鎮咳薬,吸入ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬を開始し,症状は消失した.初診より2年5か月後の胸部CTで憩室の増大を認めず,自覚症状もなく経過観察中である.結論.咳喘息に...

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Published in気管支学 Vol. 42; no. 3; pp. 264 - 268
Main Authors 坂口, 浩三, 吉村, 竜一, 石田, 博徳, 田口, 亮, 二反田, 博之, 梅咲, 徹也, 栁原, 章寿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2020
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.42.3_264

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Summary:背景.気管憩室は気管の形態異常である.近年は画像診断技術の向上により報告例が散見されるようになったが,多発例は比較的稀である.症例.58歳男性.主訴は胸部CT異常像.咳嗽症状精査の胸部CTで気管近傍に異常像を認め,縦隔気腫の疑いで紹介受診した.胸部CTで気管右背側と気管分岐部に囊胞性病変を2か所認めた.気管支鏡検査では気管右背側と気管分岐部にそれぞれ小孔を認め,多発気管憩室と診断した.咳嗽症状は咳喘息と診断し,禁煙指導のうえ鎮咳薬,吸入ステロイド薬/長時間作用型β2刺激薬を開始し,症状は消失した.初診より2年5か月後の胸部CTで憩室の増大を認めず,自覚症状もなく経過観察中である.結論.咳喘息に合併した多発気管憩室の1例を経験した.気管憩室は咳嗽・痰といった呼吸器症状を契機に発見される症例もある.有症状の気管憩室症例では,背景疾患の検査・治療が重要と思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.42.3_264