胆管原発神経内分泌腫瘍の1例

要旨:症例は60代女性.嘔気を主訴に来院した.血液検査では黄疸と肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部CTでは上部胆管に早期相で強い造影効果を示す腫瘤を認めた.ERCPでは,上部から中部胆管に狭窄を来しており,その上流の胆管は著明に拡張していた.後日再検したERCPでは立ち上がりのなだらかな腫瘤影を認め,粘膜下腫瘍が疑われた.経口胆道鏡検査では腫瘤の大部分は粘膜下腫瘍の形態を示していた.以上より,上部胆管癌の粘膜下浸潤と術前診断し肝外胆管切除術を施行した.HE染色ではN/C比の高い小型の腫瘍細胞が充実性胞巣状に増殖していた.免疫染色ではchromogranin Aが陽性であり,2010年WHO分類で...

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Published in胆道 Vol. 27; no. 1; pp. 118 - 123
Main Authors 菅, 宏美, 藤本, 佳史, 中光, 篤志, 臺丸, 裕, 徳毛, 宏則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2013
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.27.118

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Summary:要旨:症例は60代女性.嘔気を主訴に来院した.血液検査では黄疸と肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部CTでは上部胆管に早期相で強い造影効果を示す腫瘤を認めた.ERCPでは,上部から中部胆管に狭窄を来しており,その上流の胆管は著明に拡張していた.後日再検したERCPでは立ち上がりのなだらかな腫瘤影を認め,粘膜下腫瘍が疑われた.経口胆道鏡検査では腫瘤の大部分は粘膜下腫瘍の形態を示していた.以上より,上部胆管癌の粘膜下浸潤と術前診断し肝外胆管切除術を施行した.HE染色ではN/C比の高い小型の腫瘍細胞が充実性胞巣状に増殖していた.免疫染色ではchromogranin Aが陽性であり,2010年WHO分類でNeuroendocrine tumor(NET)-G2と診断した. 胆管原発の神経内分泌腫瘍は極めて稀であり,また,術前に経口胆道鏡検査にて観察し得た症例の報告はなく,貴重と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.27.118