がん専門病院における膵がんドックの試みと受診者の臨床的特徴

腹部超音波,造影CT,MRCPを用いて行なった膵がんドックを受診された92症例を検討した.受診者の概要は,男性58例,女性34例,年齢の中央値が62.5歳(33~86歳),県外からの受診が14%であった.「膵がんの家族歴」を動機として受診した方が37%と多かった.胆あるいは膵に異常を認めた症例は66%を占め,診断された悪性腫瘍は,膵神経内分泌腫瘍,胆嚢がん,腎細胞がん再発の3例で,膵がんは認めなかった.膵病変の検出率に関しては,MRCPが概して優っていた.膵がんの家族歴を認めた症例では,年齢中央値が54歳と若く,他のリスクファクターでは,喫煙歴,糖尿病,膵炎の既往などは少ない傾向にあった.「膵...

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Published in膵臓 Vol. 34; no. 5; pp. 206 - 213
Main Authors 杉本, 理恵, 古川, 正幸, 橋本, 理沙, 野口, 達矢, 安森, 翔, 久野, 晃聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.10.2019
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.34.206

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Summary:腹部超音波,造影CT,MRCPを用いて行なった膵がんドックを受診された92症例を検討した.受診者の概要は,男性58例,女性34例,年齢の中央値が62.5歳(33~86歳),県外からの受診が14%であった.「膵がんの家族歴」を動機として受診した方が37%と多かった.胆あるいは膵に異常を認めた症例は66%を占め,診断された悪性腫瘍は,膵神経内分泌腫瘍,胆嚢がん,腎細胞がん再発の3例で,膵がんは認めなかった.膵病変の検出率に関しては,MRCPが概して優っていた.膵がんの家族歴を認めた症例では,年齢中央値が54歳と若く,他のリスクファクターでは,喫煙歴,糖尿病,膵炎の既往などは少ない傾向にあった.「膵癌に罹患した2名以上の第一度近親者がいる家系」からの受診者は2家系2症例で,それぞれ慢性膵炎と膵管癒合不全が認められた.ハイリスク群に対するサーベイランス構築に向け,この結果が役立つことを願う.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.34.206