非溶血性輸血副作用発生時の患者の血中補体濃度の検討
非溶血性輸血副作用発生時の患者の血清補体C4値およびC3値の変化を観察して,補体系の活性化の有無を検討した.血清トリプターゼ値の変化も併せて観察して,補体値の変化とマスト細胞の脱顆粒の関連を検討した. Anaphylactic shock,Anaphylactoid reaction,Urticaria等の症状を呈した患者群では,副作用発生前後での血清C4値およびC3値の有意な減少が認められた.これらの患者では,副作用発生時に,古典的経路を介した補体系の活性化が推察された.一方,Anaphylactic shock等の症状を呈した患者群では,血清トリプターゼ値の増加も認められ,マスト細胞の活性...
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| Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 5; pp. 633 - 638 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
2009
日本輸血・細胞治療学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
| DOI | 10.3925/jjtc.55.633 |
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| Summary: | 非溶血性輸血副作用発生時の患者の血清補体C4値およびC3値の変化を観察して,補体系の活性化の有無を検討した.血清トリプターゼ値の変化も併せて観察して,補体値の変化とマスト細胞の脱顆粒の関連を検討した. Anaphylactic shock,Anaphylactoid reaction,Urticaria等の症状を呈した患者群では,副作用発生前後での血清C4値およびC3値の有意な減少が認められた.これらの患者では,副作用発生時に,古典的経路を介した補体系の活性化が推察された.一方,Anaphylactic shock等の症状を呈した患者群では,血清トリプターゼ値の増加も認められ,マスト細胞の活性化も示唆された.しかしながら,トリプターゼ値の増加と補体値の減少との間に相関関係は認められなかった. 非溶血性輸血副作用発生には,複数の異なる作用機序が関与する可能性が示唆された. |
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| ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
| DOI: | 10.3925/jjtc.55.633 |