頬粘膜腫瘍による高度開口障害を伴う精神遅滞患者の周術期気道管理経験

高度の開口障害と頬部穿孔のため意識下挿管が適応と考えられたが,精神遅滞のため困難であると判断した患者に対して,少量のフェンタニルおよびデクスメデトミジンによる鎮静下で気管切開を行った1例を経験した.患者は36歳,男性.左側頬部皮膚の有棘細胞癌に対して,気管切開術,頬部悪性腫瘍切除術,左側全頚部リンパ節郭清術,遊離外側大腿皮弁移植術が予定された.呼吸抑制が軽微なデクスメデトミジンで鎮静し,少量のフェンタニルと局所麻酔下に気管切開を行った.本症例では呼吸・循環動態の変動なく管理し得たが,患者の精神遅滞の程度によっては術前評価が十分に行えないこともあり,症例に応じた適切な気道管理法を選択すべきである...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 40; no. 7; pp. 583 - 587
Main Authors 祖父江, 和哉, 大國, 希, 佐藤, 曾士, 中根, 昇吾, 加古, 英介, 永井, 梓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.11.2020
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.40.583

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Summary:高度の開口障害と頬部穿孔のため意識下挿管が適応と考えられたが,精神遅滞のため困難であると判断した患者に対して,少量のフェンタニルおよびデクスメデトミジンによる鎮静下で気管切開を行った1例を経験した.患者は36歳,男性.左側頬部皮膚の有棘細胞癌に対して,気管切開術,頬部悪性腫瘍切除術,左側全頚部リンパ節郭清術,遊離外側大腿皮弁移植術が予定された.呼吸抑制が軽微なデクスメデトミジンで鎮静し,少量のフェンタニルと局所麻酔下に気管切開を行った.本症例では呼吸・循環動態の変動なく管理し得たが,患者の精神遅滞の程度によっては術前評価が十分に行えないこともあり,症例に応じた適切な気道管理法を選択すべきである.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.40.583