甲状腺低リスク微小乳頭癌の非手術経過観察

近年, 世界的に甲状腺癌の頻度(罹患率)が急増している. これは主として, 超音波検査(US)をはじめとする画像検査の普及とその精度の向上, および健康診断をはじめ様々な理由で検査を受ける機会の増加が原因で, 小さな乳頭癌の偶発的な発見が増えているためであると解釈されている. 一方で, 甲状腺癌による死亡率は変化していないことから, このような癌の診断・治療(手術)は「過剰診断・過剰治療」にあたるとして, 警鐘が鳴らされている. これに対し, 日米のガイドラインはUS所見から乳頭癌が疑われる症例に対し, 穿刺吸引細胞診(FNA)を行うべき腫瘍径に下限を設けた. 日本乳腺甲状腺超音波医学会による...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 16; no. 3; pp. 168 - 169
Main Author 杉谷, 巌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 25.06.2020
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.16.168

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Summary:近年, 世界的に甲状腺癌の頻度(罹患率)が急増している. これは主として, 超音波検査(US)をはじめとする画像検査の普及とその精度の向上, および健康診断をはじめ様々な理由で検査を受ける機会の増加が原因で, 小さな乳頭癌の偶発的な発見が増えているためであると解釈されている. 一方で, 甲状腺癌による死亡率は変化していないことから, このような癌の診断・治療(手術)は「過剰診断・過剰治療」にあたるとして, 警鐘が鳴らされている. これに対し, 日米のガイドラインはUS所見から乳頭癌が疑われる症例に対し, 穿刺吸引細胞診(FNA)を行うべき腫瘍径に下限を設けた. 日本乳腺甲状腺超音波医学会による「甲状腺超音波診断ガイドブック」では2012年発行の改訂第2版において, 結節性病変の診断の進め方について, 充実性病変の場合, 腫瘍径5~10mmでは悪性を強く疑う場合にFNAをすること, 5mm以下は経過観察を基本とすることを推奨した.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.16.168