興味深いMRI所見を呈した悪性黒色腫膵転移の1例

60代,女性.皮膚黄染を主訴に受診.半年前に右副鼻腔悪性黒色腫に根治切除術の施行歴があった.来院時の腹部造影CTでは膵頭部を中心に多発する最大25mmの遷延性濃染を示す腫瘤を認め,悪性黒色腫の転移再発が疑われた.原発巣はメラニン産生性であり,その転移巣であればMRIのT1強調画像で高信号を呈すると想定されたが,膵腫瘤は低信号を呈していた.膵頭部病変に超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)を施行し,転移性のメラニン非産生性悪性黒色腫と診断に至り,MRI所見と解離した理由が推察された.治療方針決定のための遺伝子変異検査は,検体量が十分な原発巣切除検体で行ったが,選択された薬剤の効果は認められ...

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Published in膵臓 Vol. 34; no. 4; pp. 188 - 194
Main Authors 保田, 宏明, 田中, 基夫, 片山, 政伸, 馬場, 正道, 安田, 剛士, 江口, 大樹, 竹田, 善哉, 伏木, 邦博, 小野澤, 由里子, 重松, 忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.08.2019
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.34.188

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Summary:60代,女性.皮膚黄染を主訴に受診.半年前に右副鼻腔悪性黒色腫に根治切除術の施行歴があった.来院時の腹部造影CTでは膵頭部を中心に多発する最大25mmの遷延性濃染を示す腫瘤を認め,悪性黒色腫の転移再発が疑われた.原発巣はメラニン産生性であり,その転移巣であればMRIのT1強調画像で高信号を呈すると想定されたが,膵腫瘤は低信号を呈していた.膵頭部病変に超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)を施行し,転移性のメラニン非産生性悪性黒色腫と診断に至り,MRI所見と解離した理由が推察された.治療方針決定のための遺伝子変異検査は,検体量が十分な原発巣切除検体で行ったが,選択された薬剤の効果は認められず,転移巣では原発巣と異なる遺伝子変異の存在が示唆された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.34.188