羊水過多症を呈し出生後にFloyd分類I型気管無形成と肺低形成が判明した一例,気管無形成の胎児期の診断方法の検討

気管無形成は先天性上気道閉塞症候群の一つで,気管がほとんど発生しない稀な先天奇形である.その頻度は約5万例に1例,男児の症例が女児の2倍といわれている.出生後に上気道閉塞が判明してから診断が付くことが多く,長期生存症例の報告は少ない.また気管食道瘻を合併することが多いため,先天性上気道閉塞症候群に認められる特徴的な胎児超音波像を認めるものは少ない.症例は36歳,羊水過多と胎児に胃泡を認めない以外の所見を認めず,胎児食道閉鎖症を疑っていた.28週で前期破水し,33週に骨盤位で陣痛が発来し帝王切開を行ったが,生後2時間で新生児死亡に至った.解剖でFloyd分類I型の気管無形成と喉頭閉鎖,食道閉鎖,...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 166 - 170
Main Authors 植村, 朝子, 中村, 学, 伊藤, 朋子, 宮本, 純孝, 閑野, 千佳, 高橋, 泰洋, 角谷, 和歌子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2024
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.60.1_166

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Summary:気管無形成は先天性上気道閉塞症候群の一つで,気管がほとんど発生しない稀な先天奇形である.その頻度は約5万例に1例,男児の症例が女児の2倍といわれている.出生後に上気道閉塞が判明してから診断が付くことが多く,長期生存症例の報告は少ない.また気管食道瘻を合併することが多いため,先天性上気道閉塞症候群に認められる特徴的な胎児超音波像を認めるものは少ない.症例は36歳,羊水過多と胎児に胃泡を認めない以外の所見を認めず,胎児食道閉鎖症を疑っていた.28週で前期破水し,33週に骨盤位で陣痛が発来し帝王切開を行ったが,生後2時間で新生児死亡に至った.解剖でFloyd分類I型の気管無形成と喉頭閉鎖,食道閉鎖,肺低形成が判明した.気管無形成は胎児期にMRIを撮影することが正確な診断に寄与する可能性があり,原因不明の羊水過多を示す症例には本疾患を念頭におくべきである.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.1_166