脂肪組織と石灰化成分を内部に含有した胆嚢癌の1例

症例は71歳,男性.近医における腹部超音波検査で2年前より指摘されていた胆嚢底部の腫瘤性病変の増大がみられたため,精査目的に当科に紹介となった.各種画像診断により,腫瘤性病変は約20 mm大であり,辺縁はほぼ平滑で,内部には脂肪成分が含まれていることが明らかとなった.良性病変も示唆されたが,表面に不整な顆粒状粘膜を伴い,増大傾向にある亜有茎性の腫瘤性病変であり,漿膜側に腫瘤内部への引きつれを伴うことから,胆嚢癌を第一に考え,胆嚢摘出術を施行した.腫瘍内部には脂肪組織と石灰化成分を含有し,腫瘍中心の不整な癌性腺管の周囲には著明な線維化と毛細血管の増生やフィブリンの析出がみられた.胆嚢底部には,炎...

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Published in胆道 Vol. 28; no. 1; pp. 73 - 80
Main Authors 平野, 聡, 河上, 洋, 三橋, 智子, 桒谷, 将城, 川久保, 和道, 田中, 栄一, 工藤, 大樹, 羽場, 真, 坂本, 直哉, 阿部, 容子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.03.2014
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.28.73

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Summary:症例は71歳,男性.近医における腹部超音波検査で2年前より指摘されていた胆嚢底部の腫瘤性病変の増大がみられたため,精査目的に当科に紹介となった.各種画像診断により,腫瘤性病変は約20 mm大であり,辺縁はほぼ平滑で,内部には脂肪成分が含まれていることが明らかとなった.良性病変も示唆されたが,表面に不整な顆粒状粘膜を伴い,増大傾向にある亜有茎性の腫瘤性病変であり,漿膜側に腫瘤内部への引きつれを伴うことから,胆嚢癌を第一に考え,胆嚢摘出術を施行した.腫瘍内部には脂肪組織と石灰化成分を含有し,腫瘍中心の不整な癌性腺管の周囲には著明な線維化と毛細血管の増生やフィブリンの析出がみられた.胆嚢底部には,炎症性変化に伴う漿膜下脂肪織の引きつれがみられ,その結果,腫瘍内部に脂肪組織を含有したものと考えられた.脂肪組織および石灰化成分を含有する胆嚢癌は非常にまれであり,術前の診断を困難にする要因であった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.28.73