当院におけるABO血液型オモテ・ウラ検査不一致の基礎疾患の検討

輸血療法を行なう上で,正確な血液型の判定は重要である.赤血球表面抗原検査であるオモテ検査と,血清中の抗A・抗B抗体の検出を行なうウラ検査の両方の結果によってABO血液型が確定される.しかし,ABO亜型など特殊な血液型以外にも,血液疾患をはじめとする各種悪性腫瘍や免疫異常など様々な病態による影響を受け,オモテ・ウラ検査不一致を認める場合がある.2003年1月から2015年9月までの期間中に当院輸血部にて血液型検査を受け,ABO不適合造血幹細胞移植後症例を除きオモテ・ウラ検査不一致を1度でも認めた症例の疾患背景について後方視的解析を行なった.2,455症例中61症例が,オモテ・ウラ検査不一致症例で...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 63; no. 5; pp. 683 - 690
Main Authors 川俣, 豊隆, 尾上, 和夫, 東條, 有伸, 長村(井上), 登紀子, 衡田, 経子, 阿部, 結花
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2017
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.63.683

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Summary:輸血療法を行なう上で,正確な血液型の判定は重要である.赤血球表面抗原検査であるオモテ検査と,血清中の抗A・抗B抗体の検出を行なうウラ検査の両方の結果によってABO血液型が確定される.しかし,ABO亜型など特殊な血液型以外にも,血液疾患をはじめとする各種悪性腫瘍や免疫異常など様々な病態による影響を受け,オモテ・ウラ検査不一致を認める場合がある.2003年1月から2015年9月までの期間中に当院輸血部にて血液型検査を受け,ABO不適合造血幹細胞移植後症例を除きオモテ・ウラ検査不一致を1度でも認めた症例の疾患背景について後方視的解析を行なった.2,455症例中61症例が,オモテ・ウラ検査不一致症例であり,その基礎疾患として,造血器腫瘍患者が多くを占めていた.判定不能の原因は,オモテ検査が20症例,ウラ検査が35症例,オモテ検査・ウラ検査両方が4症例,特定不能が2症例であった.オモテ検査では骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病,ウラ検査ではリンパ系腫瘍を基礎疾患に有する症例が多かった.オモテ・ウラ不一致症例における疾患背景を理解し,慎重に判定する必要がある.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.63.683