直腸閉鎖の1女児例

直腸閉鎖は直腸肛門奇形の一型であり稀な疾患である.今回,腹部膨満と繰り返す嘔吐により発症した直腸閉鎖の1例を経験したので報告する.症例は日齢1日の女児,正常分娩で出生し状態は安定していた.生後6時間後の哺乳開始後より腹部膨満と繰り返す胆汁性嘔吐を認め,浣腸を行うためのチューブが経肛門的に直腸内に挿入できなかったため直腸肛門奇形が疑われた.超音波検査により直腸に膜様の盲端を認め,透視検査では肛門からのネラトン挿入により膜の動揺を認めた.以上より直腸膜様閉鎖と診断し,同日1期的に経肛門的根治術を行った.術後2年経過し,肛門機能に異常は認めていない.直腸閉鎖は非常に稀な疾患であり,また閉鎖部位の高さ...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 1; pp. 50 - 53
Main Authors 竹添, 豊志子, 渡邉, 稔彦, 前田, 健一, 小川, 雄大, 高橋, 正貴, 渕本, 康史, 右田, 美里, 大野, 通暢, 金森, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 2018
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.54.1_50

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Summary:直腸閉鎖は直腸肛門奇形の一型であり稀な疾患である.今回,腹部膨満と繰り返す嘔吐により発症した直腸閉鎖の1例を経験したので報告する.症例は日齢1日の女児,正常分娩で出生し状態は安定していた.生後6時間後の哺乳開始後より腹部膨満と繰り返す胆汁性嘔吐を認め,浣腸を行うためのチューブが経肛門的に直腸内に挿入できなかったため直腸肛門奇形が疑われた.超音波検査により直腸に膜様の盲端を認め,透視検査では肛門からのネラトン挿入により膜の動揺を認めた.以上より直腸膜様閉鎖と診断し,同日1期的に経肛門的根治術を行った.術後2年経過し,肛門機能に異常は認めていない.直腸閉鎖は非常に稀な疾患であり,また閉鎖部位の高さや距離に多様性があるため,正確な診断と適切な処置が必要であると考えられる.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.54.1_50