治療標的としてのIL-23/IL-17連関

ヘルパーT(Th)細胞は周囲の環境に応じて各種のサブセットに分化することが知られている.2005年に報告・命名されたインターロイキン17(IL-17)産生性のTh17細胞サブセットは,炎症性疾患との関連が強く示唆されたことから精力的に解析が進められた.Th17細胞の分化条件,重要な転写因子やマウスとヒトとの異同などが次々に明らかになり,IL-17およびTh17細胞の活性化に重要とされるIL-23は創薬の有力な候補となった.実際にIL-23/IL-17連関を阻害する生物学的製剤が,特に皮膚の炎症性疾患である乾癬の治療薬として高い効果を示すことが報告され,実用化された.本稿では紆余曲折があったTh...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 36; no. 4; pp. 203 - 208
Main Author 佐藤, 浩二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2013
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.36.203

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Summary:ヘルパーT(Th)細胞は周囲の環境に応じて各種のサブセットに分化することが知られている.2005年に報告・命名されたインターロイキン17(IL-17)産生性のTh17細胞サブセットは,炎症性疾患との関連が強く示唆されたことから精力的に解析が進められた.Th17細胞の分化条件,重要な転写因子やマウスとヒトとの異同などが次々に明らかになり,IL-17およびTh17細胞の活性化に重要とされるIL-23は創薬の有力な候補となった.実際にIL-23/IL-17連関を阻害する生物学的製剤が,特に皮膚の炎症性疾患である乾癬の治療薬として高い効果を示すことが報告され,実用化された.本稿では紆余曲折があったTh17細胞の基礎研究と,生物学的製剤開発の現況について概説する.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.36.203