睡眠障害とめまい平衡障害について
「はじめに」平衡機能は前庭入力, 視覚入力, 深部知覚からの入力を脳幹や小脳, 大脳などの中枢で統合, 制御することで保たれている機構である. そのため, これらの各々の部位での機能障害がめまい症状や平衡障害の原因となりうる. また, 循環動態や自律神経も間接的にこれらの平衡機能に影響を及ぼし, めまい症の原因は極めて複雑で多岐に亘ると考えられる. その原因の一つとして睡眠障害も以前より検討がなされており, 耳鼻咽喉科に受診しためまい症の約60%以上に何らかの睡眠障害を疑うとする報告がある. これは, 一般日本成人の不眠の有症率が男性17.3%, 女性21.5%とする報告に比べて明らかに高率で...
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| Published in | Equilibrium Research Vol. 76; no. 4; pp. 286 - 291 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2017
日本めまい平衡医学会 |
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| ISSN | 0385-5716 1882-577X |
| DOI | 10.3757/jser.76.286 |
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| Summary: | 「はじめに」平衡機能は前庭入力, 視覚入力, 深部知覚からの入力を脳幹や小脳, 大脳などの中枢で統合, 制御することで保たれている機構である. そのため, これらの各々の部位での機能障害がめまい症状や平衡障害の原因となりうる. また, 循環動態や自律神経も間接的にこれらの平衡機能に影響を及ぼし, めまい症の原因は極めて複雑で多岐に亘ると考えられる. その原因の一つとして睡眠障害も以前より検討がなされており, 耳鼻咽喉科に受診しためまい症の約60%以上に何らかの睡眠障害を疑うとする報告がある. これは, 一般日本成人の不眠の有症率が男性17.3%, 女性21.5%とする報告に比べて明らかに高率である. 不眠の有症率はDSM-IVによる診断やピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index ; PSQI)を用いた検討でも同程度であり約20%である. 地域や職種によって差があり, 都市部やサラリーマンでは30%以上と高率であるとする報告もあるが, それに比してもめまい患者に睡眠障害が多いのはなぜであろうか. |
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| ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
| DOI: | 10.3757/jser.76.286 |