肺非結核性抗酸菌症の治療中に発症し,気管支鏡検査により診断に至ったExophiala dermatitidisによる肺黒色真菌症の1例

背景.Exophiala dermatitidisは,湿潤な生活環境から分離される黒色真菌で.呼吸器感染症としては稀である.症例.58歳,女性.咳嗽を主訴に当院を受診し,CTで気管支拡張とコンソリデーション,粒状影を認め,気管支洗浄液からMycobacterium aviumを検出したことから,肺非結核性抗酸菌症と診断した.内服を開始し陰影は改善したが,視神経炎のため治療を中断した.その後,陰影が悪化したため内服を再開したが改善を認めず,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液の抗酸菌検査は陰性で,グロコット染色で酵母様真菌を多数認め,E. dermatitidisが検出されたため,voric...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 6; pp. 619 - 623
Main Authors 増尾, 昌宏, 榛沢, 理, 貫井, 義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.6_619

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Summary:背景.Exophiala dermatitidisは,湿潤な生活環境から分離される黒色真菌で.呼吸器感染症としては稀である.症例.58歳,女性.咳嗽を主訴に当院を受診し,CTで気管支拡張とコンソリデーション,粒状影を認め,気管支洗浄液からMycobacterium aviumを検出したことから,肺非結核性抗酸菌症と診断した.内服を開始し陰影は改善したが,視神経炎のため治療を中断した.その後,陰影が悪化したため内服を再開したが改善を認めず,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液の抗酸菌検査は陰性で,グロコット染色で酵母様真菌を多数認め,E. dermatitidisが検出されたため,voriconazole内服を開始したところ改善を得た.結論.肺非結核性抗酸菌症の治療中にE. dermatitidisによる肺黒色真菌症を発症した1例を経験した.画像での鑑別は困難であり,気管支鏡による積極的な起因菌の検索が重要であると考えた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.6_619