クライオバイオプシーで診断した超硬合金肺の1例

背景.超硬合金肺は超硬合金の塵埃を吸入した結果生じる職業性肺疾患である.稀な疾患であるが時に重篤化する症例が報告されている.診断には曝露歴の聴取が重要であり,確定診断のためには肺生検が有用である.症例.43歳男性.21歳時から超硬合金を使用した金属加工に従事していた.42歳時に乾性咳嗽が生じ,前医の胸部CTで両肺下葉のすりガラス陰影を指摘され,当科に紹介となった.職業歴から超硬合金肺を疑った.左肺下葉病変に対しクライオバイオプシー(transbronchial lung cryobiopsy:TBLC)を施行した.肺組織の元素分析によりタングステンが検出され,超硬合金肺と確定診断した.ステロイ...

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Published in気管支学 Vol. 45; no. 4; pp. 269 - 274
Main Authors 水島, 伊佐美, 神原, 健太, 市川, 智巳, 松井, 祥子, 田中, 真一, 猪又, 峰彦, 松本, 正大, 村山, 望, 岡澤, 成祐, 河岸, 由紀男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2023
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.45.4_269

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Summary:背景.超硬合金肺は超硬合金の塵埃を吸入した結果生じる職業性肺疾患である.稀な疾患であるが時に重篤化する症例が報告されている.診断には曝露歴の聴取が重要であり,確定診断のためには肺生検が有用である.症例.43歳男性.21歳時から超硬合金を使用した金属加工に従事していた.42歳時に乾性咳嗽が生じ,前医の胸部CTで両肺下葉のすりガラス陰影を指摘され,当科に紹介となった.職業歴から超硬合金肺を疑った.左肺下葉病変に対しクライオバイオプシー(transbronchial lung cryobiopsy:TBLC)を施行した.肺組織の元素分析によりタングステンが検出され,超硬合金肺と確定診断した.ステロイド内服加療で病状の改善を認めた.結論.TBLCで診断した超硬合金肺の1例を経験した.診断能の向上と侵襲の低減という観点から,TBLCの有用性が期待される.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.45.4_269