原発性肺癌との鑑別を要し,気管支鏡で組織学的に診断した原発性小腸癌肺転移の1例

背景.原発性小腸癌は稀な悪性腫瘍であり,進行が速く転移を有することも多いため治療困難な症例が多い.本論文は原発性小腸癌の肺転移を気管支鏡で組織学的に診断し得た初めての報告である.症例.66歳女性,腸閉塞で入院した際に左肺門部にspicula,pleural indentationを伴う腫瘤影と右副腎腫瘤を認め,原発性肺癌が疑われた.しかし腸閉塞解除のために施行した小腸切除術により原発性小腸癌と判明した.気管支鏡検査では左B6は突出する腫瘤により完全に閉塞しており,生検により小腸と同様の病理所見が認められたことから,肺病変は原発性小腸癌の肺転移であると診断した.化学療法を施行したが奏効せず4か月...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 45; no. 6; pp. 385 - 390
Main Authors 伊藤, 礼, 林, 大樹, 関, 皓生, 舩山, 康則, 鈴木, 恵子, 中嶋, 真之, 中川, 龍星
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.11.2023
日本呼吸器内視鏡学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.45.6_385

Cover

More Information
Summary:背景.原発性小腸癌は稀な悪性腫瘍であり,進行が速く転移を有することも多いため治療困難な症例が多い.本論文は原発性小腸癌の肺転移を気管支鏡で組織学的に診断し得た初めての報告である.症例.66歳女性,腸閉塞で入院した際に左肺門部にspicula,pleural indentationを伴う腫瘤影と右副腎腫瘤を認め,原発性肺癌が疑われた.しかし腸閉塞解除のために施行した小腸切除術により原発性小腸癌と判明した.気管支鏡検査では左B6は突出する腫瘤により完全に閉塞しており,生検により小腸と同様の病理所見が認められたことから,肺病変は原発性小腸癌の肺転移であると診断した.化学療法を施行したが奏効せず4か月後に死亡した.結語.転移性肺腫瘍の内視鏡所見は原発巣や組織像によって多彩な所見を呈する可能性が考えられた.また,画像所見が原発性肺癌と矛盾しなくても,他に原発巣が存在する可能性に留意して鑑別を行うべきである.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.45.6_385